凄すぎる「台湾のベビーシッター」日本との大差 「安心安全」はこうやって作られていた

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台湾は、いったいどのような趣旨で制度を導入し、運用しているのだろうか。制度に関わる托育政策催生聯盟專員の黃喬鈴さんに話を聞いた。

托育政策催生聯盟と、彭婉如文教基金會のスタッフを兼任している黃喬鈴さん。大学では社会福祉を専攻(写真:筆者撮影)

台湾で0歳から2歳までの幼児を預ける場合、公立の選択肢は主に2つ。「ベビーシッターの自宅で預かる」というものと「託児センター(托嬰中心)」だ。

現状、利用者の割合は以下の通り。ベビーシッターのほうが多いが、それでも稼働可能なベビーシッターの数に対する実際の使用率は2018年時点で48.3%とまだ余裕が見られ、待機児童などは出ていない状況だ。

台湾のベビーシッター制度は、2014年に制定された「居家式托育服務提供者登記及管理辦法」という法律のもと、政府から全台湾で71の「在宅保育サービスセンター」に委託運用されている。これらのセンターはすべて基金会やベビーシッターにより設立された団体など、非営利の組織だ。

政府からの委託を受けた各エリアの「在宅保育サービスセンター」は、ベビーシッターに対して登録・補導・サポートを行い、保護者に対してもマッチングなどのサポートを行う、いわば第三者の役割を担う。

「子どもがケアを受けられるように」設定された制度

今回話を聞いた黃喬鈴さんは、全台湾で7つのセンターを運営する「彭婉如文教基金會」のスタッフであり、こちらの基金会が参加する保育を推進する連盟のスタッフでもある。

「このセンターの大事な仕事の1つが『訪視輔導員(訪問補導員)』が、ベビーシッターの家を訪ねてどのような世話をしているかを見守ることです。新しい赤ちゃんが入った1カ月以内には必ず訪問することになっています。また、訪問が終わったら保護者側に電話をして、ヒアリングします」

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