凄すぎる「台湾のベビーシッター」日本との大差 「安心安全」はこうやって作られていた

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夫の陳達人さんは、仕事を引退後に資格を取り、登録してベビーシッターになったという。

「夫はもともと子どもが大好きだし、いつも私のやり方を見ていたから技能試験は100点だったのよ」と陳雪燕さんは笑う。

高度な実技も含まれるシッター資格試験

シッター資格試験には新生児&幼児関連の知識や職業倫理などの学科試験と、「清潔」、「調理」、「遊戯・学習」、「安全・看護」の4領域にわたる実技技能試験が行われる。中には「20分以内に複数のお世話を終えられるか」といった高度な実技も含まれているそうだ。

部屋はもちろん、おもちゃも毎日消毒するのがすでに習慣になっているため、コロナウイルスの影響はほぼなかったそうだ(写真:筆者撮影)

「資格試験のために覚える内容はとても役に立つし、高校や大学で教えたらいいとさえ思うよ。社会全体に赤ちゃんのお世話に関する知識があったら、すごくいいよね」

と陳達人さん。

また、単に生活の世話をするというだけでなく、心の発達にも目配りしている。

「子どもは一人ひとり違うから、自己肯定感を持てるように得意なことを見極めて伸ばし、苦手なことは少しずつフォローするのが大事。台湾政府は0歳〜2歳までを私たちベビーシッターに、2歳3歳以上は団体生活を覚えるために保育園に行くことを推奨しているの。だから保育園に上がるまでに自分でご飯が食べられたり、トイレができるようにするのもベビーシッターの大切な仕事なのよ」

と陳雪燕さんは話してくれた。

夫婦はおもちゃもできるだけ手作りのものにこだわっている。子どもが誤飲しない大きさ、形状はもちろん、色や数を教えるちょっとした教材にもなるよう工夫しているそう(写真:筆者撮影)
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