凄すぎる「台湾のベビーシッター」日本との大差 「安心安全」はこうやって作られていた

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そう話す黃さんは、自身も「訪視輔導員」になった経験を持つ。

「すべては子どもたちがきちんとしたケアを受けられるように作られた制度です。ただ、これが企業だったら難しい面もありますよね。企業がベビーシッターを派遣するような場合、シッターらへあれこれ要求するのは難しくなります。

だから政府が法律を制定することで、ベビーシッティングの品質が担保され、政府が補助金を出すことができるようになるわけです。だからこそ私たちは新しくベビーシッターになる方に対して、ここはあなたの家だけれど、あなたが「生活をする場」ではなく「仕事場」で、子どもたちに合わせた環境にする必要があるいうことをはっきりと伝えられます」(黃さん)

筆者の場合は次男を妊娠中に、夫と長男を連れて自宅近くのベビーシッターを複数面接し、その中から家族会議で今の方との契約を決めた。制度があるとはいっても子どもとの関わり方や衛生面など、理念はそれぞれ異なるようだった。

「子どもに対する理念のすり合わせが最も大事です。多くの場合、ベビーシッターと保護者間のコミュニケーションがうまくいっていると、子どもたちはいいケアを受けられます。私たちの役割はそれをサポートすること」

と黃さんは語る。

犯罪者はすべてシャットアウト

ベビーシッター登録の際に必要となる資料や流れは、すでにSOP(手順)が確立されている。

ベビーシッターと保護者間の契約に使う契約書も書面で用意されており、政府のWebサイトからダウンロードしてそのまま使うことができる。

今、日本の読者が気になるのは、性犯罪者をどうシャットアウトするかだろう。その点について、黃さんに台湾の仕組みについて聞いてみると、あっさり答えが返ってきた。

「過去にも仕組みはありましたが、2014年に『居家式托育服務提供者登記及管理辦法』という法律が制定されています。性犯罪は今のところ起こっていません」

「居家式托育服務提供者登記及管理辦法」によれば、ベビーシッターに登録する際に必要となる要件は以下の2点。

・20歳以上
・シッター技術資格、高校以上の幼児教育・看護・家政関連学科卒業、保育士専門訓練の卒業資格のいずれかを保有
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