JR東、コロナが問う「時間帯別運賃」の本気度 1~2年かけ検討、長距離通勤者向け新商品も

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車両や要員も、その多くは利用のピークに合わせてそろえている。一方で満員電車に乗る利用者は大変つらい思いをして通勤している。軽井沢や那須塩原などから新幹線で遠距離通勤している人は、平日は都内で仕事をして週末に自宅でゆっくりと過ごしていた。それがコロナ禍で、都内で仕事するのは週に何日かとし、あとは自宅や最寄りのサテライトオフィスで仕事をするという例も見られる。

満員電車で通勤していた人が、もっと遠くに移住して新幹線で通う動きもこれからは増えてくると思う。毎月の利用が少ない人にとって通勤定期は割高となるので、こうした長距離通勤者向けに週何日かだけ使えるような商品を検討していく。

検討を重ねてきた時間帯別運賃

――定期券だけですか。

今のピーク時間帯は定期の利用者が多く、(新商品の検討は)まず定期でと考えている。最近はポイント制度も使えるようになってきているので、ポイントとの組み合わせも考えていく。

ふかさわ・ゆうじ/1954年生まれ。1978年東京大学法学部卒業、日本国有鉄道入社。1987年JR東日本入社。投資計画部長、人事部長、副社長などを経て2018年から現職(撮影:尾形文繁)

――時間帯別運賃は今回初めて出たアイデアですか。

今までも検討は重ねてきた。海外の導入事例もある。だが世界的に見ても日本ほど鉄道が使われている国はない。その非常にボリュームの大きい利用者に合わせて運賃の仕組みが作られていたため、なかなか手をつけられなかった。

今回、それを根本的に変えたい。われわれ自身がフレキシブルに物事を考えていくきっかけにしたい。

――時間帯別運賃を導入し、ピーク時の運賃を高くすると、「値上げ」と考える人もいるのでは。

在宅勤務などで鉄道の利用が減って、かつ運賃が下がると収入全体が減ってしまう。どういう仕組みにするのかはしっかりと議論しなくてはいけないし、利用者の理解を得ながら進めていきたい。

(検討期間は)1~2年というスパンで考えている。ダイヤ改正は年1回(通常は3月)行っているが、そのタイミングに合わせるためには、どのようなことをやるのか。早めに決めなくてはいけない。

コロナ後の「新常態」とどのように向き合っていくべきなのか。「週刊東洋経済プラス」では、経営者やスペシャリストのインタビューを連載中です。(画像をクリックすると一覧ページにジャンプします)

――JR東日本単独で実施するのですか。

ダイヤ改正の場合は始発や終電での接続もあるし、相互直通している私鉄各社との関係もある。どのような取り組みをするかは各社それぞれに考えていくことだが、このような商品はどこも出していないので、事前に「こういうことをやります」という話はしていく。

「週刊東洋経済プラス」のインタビュー拡大版では、「Suicaの今後の展開」「駅を中心とした再開発のあり方」「成長やイノベーション投資に対する考え方」についても語っている。
大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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