日本からの発信は、現代の日本人・日本社会に連綿と受け継がれ、生き続ける深い精神性と価値観を伝えていかなければウソだと思います。中国人が日本を訪れて驚くのが、まず、清潔な街と環境保全に努力する日本人の公共心です。京都を訪れて、元来中国から伝わった仏教が、精巧な寺院建築や仏像と共に現代の日本に息づいているのを見て感嘆するコメントも、中国のソーシャルネットワークでよく見られます。
サッカーのワールドカップを見ていつも思うのは、各国代表のプレースタイルがお国柄をよく反映していることです。日本代表はどの世代のチームも、周囲と連動しながらハードワークし、しかも常にフェアプレーです。海外で見られるような、ファウルの笛欲しさに自作自演で転ぶ「シミュレーション」のような恥ずべき行為はしません。また、日本人は観客としてもどの国も分けへだてなく平等に応援するので、好き嫌いのはっきりしている世界のサッカーファンから驚かれます。
おごらず、ふてくされず、克己心と求道心をもって謹厳実直に生きる日本人が、創意工夫しながら生み出す製品やサービスに込められた骨太な精神性こそ、日本が誇りを持ってグローバル社会に発信すべき価値だと思うのです。
結びに代えて
2012年11月、東洋経済オンラインが気鋭の編集長を迎えて全面リニューアルしたのと期を一にスタートしたこのコラムは、「中国人相手のブランド戦略」という挑戦的なテーマを掲げ、中国市場における消費者トレンドやグローバル企業のブランド戦略事例を、中国人との交流エピソードを絡めながら書き綴ってきました。せめて10回は続かないとカッコがつかない、できれば15回まで頑張ろう、と懸命に書き続けた結果、今回で38回目に到達しました。
幸い、サイト自体が大きくPVを伸ばしたおかげで、このコラムも多くの方に読んでいただくことができました。東洋経済オンラインと、親愛なる読者の皆様に対して感謝の気持ちでいっぱいです。ただ、テーマの性質や自分の立場上、記述を抑制せざるを得ない部分もありました。近いうちに、グローバルビジネスを志す皆様と、リアルの場でもっと踏み込んだ議論をする機会が持てることを願いつつ、ここでいったん筆を置くことにします。
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