「いつも正しくはない」正義の味方が勝つ理由 オープンな議論を文化にするセールスフォース
会社・個人・社会のバリューを合致できるか
ベニオフはバリュー(価値観)とバリュー(価値観)の衝突について、悩む過程を赤裸々に書いています。会社にとっていいこと、個人にとっていいこと、社会にとっていいこと。これらをイコールにして、とくに「社会にとって何がいいことか」を考えることができれば一番いい。しかし、往々にして、これらは衝突しがちです。
例えば日本では、売り上げのために違法行為スレスレのことに手を染めるようなことが何度も繰り返されています。談合なんかがまさしくそうですね。会社にとってはいいことですが、社会にとっては悪いことです。
では、なぜなくならないのでしょう。それは、会社にとっていいことというものが、社員個人の中にも染み渡っているからです。会社の中にいるうちに、個人のバリューも理想も、いつの間にかその会社のものになってしまうんですね。だから、変えられない。
会社にとっていいことと、社会にとっていいことをどう合致させるかが問題ですが、そこは利益の面で相反してしまうことが多いんですね。このマッチングについては、セールスフォースも、まだまだ取り組み中だという印象を受けました。
例えば、トランプ大統領が国境をフェンスで覆い、移民を国外追放するための政策を発表する中、セールスフォースが税関・国境警備局(CBP)と契約を結んでいることについて、従業員が異を唱えるシーンがあります。それは健全な反応ですが、しかし、会社としてCBPと契約破棄することが果たしていいことなのかどうか、その判断は難しい。
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