授業はオンラインで進められたが、入試の先行きが不透明な中で、モチベーションの維持などを含む「受験指導」をどう行うかは、現場でも課題になったようだ。
北京大学と清華大学の合格者を毎年100人以上輩出する河北省の衡水高校は2月24日、「オンライン国旗掲揚式」を開き、校長を初めとする教員が運動場で国旗を掲揚して生徒を鼓舞した。生徒と保護者は自宅からオンラインで視聴し、代表者が受験への決意を述べた。
教室の座席は成績順、全寮制で朝5時過ぎに起床し、就寝まで生徒の行動を分刻みで管理する方法で「エリート工場」との異名で知られる同校が、コロナ禍で自宅学習に切り替わり(4月下旬に登校が再開したが)、進学実績がどう変化するかは全国的にも注目されている。
登校再開も受験生が優先された。全国で一番早かったのは貴州省で、3月16日に高校3年生と中学3年生の登校を開始した。一方で、感染拡大の中心となった武漢市や、首都の北京市は、受験生の登校再開が4月中下旬以降にずれ込んだ。
そして武漢市以外の1日の感染者が1桁まで減った3月31日、大学入試を当初の6月7、8日から1か月遅れて7月7、8日に実施することが発表された。この時点では武漢市と北京市だけは「日程未定」だったが、しばらくして、両都市も足並みを合わせられることが決まった。
入試3週間前に北京でクラスター
入試まで1カ月を切った6月中旬には、北京市の食品市場周辺で大規模クラスターが発生した。北京市では7月の統一入試に先立ち、6月20日、21日に英語のリスニング入試が予定されており、実施の延期がギリギリまで検討されたが、日程通りの実施にこぎつけた。
北京市は万全の体制を取るため、7月初旬までに1100万人以上のPCR検査を行った。徹底した検査と隔離で北京市のクラスターは短期間で収束したが、入試当日には中国南部で、時期をずらしたがゆえの別の問題が発生した。豪雨だ。7月初旬、日本でも九州が豪雨に見舞われ、甚大な被害が出ているが、中国も南部を中心に、6月から大雨が続いている。
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