資生堂が1800億円で買収、米ベアエッセンシャルの実力

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 一方、世界でも業界大手に位置する資生堂だが、売り上げの主体は日本国内で、海外売り上げ比率は38%、アメリカに限ればわずか8%にすぎない。取材で回ったシリコンバレーのヴァレー・フェア、サンタナロウ、オークリッジ・モール、スタンフォード・ショッピングセンターといった有力なショッピングセンターのどこにも、資生堂だけのブティック店はない。

シリコンバレーの資生堂専門店は日本の食料品を扱う店の中や、ジャパンタウンの小売店、あるいはメーシーズ、ノードストロームなどの百貨店で扱われているだけ。ベアエッセンシャルの子会社化で、資生堂は同社が持つブティック店舗や800店舗以上の小売ネットワークを手に入れることになる。

今回の買収は、少子・高齢化で人口減少傾向の日本市場から、北米市場に打って出たい資生堂の意向と、北米からの売上げが主なベアエッセンシャルが海外に販路をさらに拡大したいという意向が合致し実現した。
 
 ところで、資生堂の買収提案に対し、早速、サンディエゴの株主、ファンデーション社がベアエッセンシャルと資生堂の米国子会社を相手取り、訴訟を起こした。普通株の買収価格が1株当たり18ドル20セントでは評価が低すぎるなど、訴えている。訴訟社会の米国では、企業買収時にはよくあるできごとだが、資生堂がグローバルビジネスを展開する中での勉強にはなりそうだ。
(Ayako Jacobsson =東洋経済オンライン)

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