大統領選に陰を落とす「バイデン」最大の弱点 トラプ大統領と同じことを言い始めている
11月のアメリカ大統領選挙で野党・民主党の候補指名を確実にしているバイデン前副大統領は9日、アメリカ製造業の復活を目指すポピュリスト的な経済政策を打ち出した。新たな大規模支出に加え、厳格な「バイ・アメリカン(アメリカ製品を買え)」の新ルールを訴えるもので、経済と愛国主義というトランプ大統領の2大看板に対抗を強める動きといえる。
激戦州ペンシルベニアの演説でバイデン氏は、パンデミック対応の不手際と株式市場に重点を置くという誤りを引き合いに出し、トランプ氏をこき下ろした。その中で明らかにしたのが、選挙運動の新たなキャッチフレーズ「よりよい復興」に基づく自身の経済政策だ。
バイデン氏はある意味で、トランプ氏から「バイ・アメリカン」のメッセージを奪い取った格好になる。2016年に「アメリカ・ファースト」を掲げて選挙を戦い、大統領就任式当日に「バイ・アメリカン」と「アメリカ人を雇用せよ」が政権を導く「2つの基本原則」になる、とツイートしたのがトランプ氏だった。
ブルーカラーのルーツ
バイデン氏が語ったプランでは、貿易・税・投資関連の政策をテコに国内の技術革新にはずみをつけ、外国の製造業への依存度を引き下げ、製造業と技術革新分野でアメリカ人の雇用を新たに500万人分創出することが目標となる。
「アメリカの製造業が過去のものになったという意見には一寸たりともくみしない」。バイデン氏は幼年期を過ごしたペンシルベニア州スクラントンの自宅からそれほど離れていないダンモアの金属加工工場で、こう語った。ブルーカラーのルーツを巧みに強調するために、バイデン氏はスクラントンにたびたび帰郷する。
同氏は「納税者が収めた税金を連邦政府が支出する場合には、米国製品を購入し、アメリカ人の雇用を支えることを目的とすべきだ」と付け加えた。
これと同じ日、ペンス副大統領はペンシルベニア州全域を網羅するトランプ氏の選挙運動バスツアーを開始した。選挙人獲得数の計算上、双方の陣営が同州を重視していることの表れだ。