大統領選に陰を落とす「バイデン」最大の弱点 トラプ大統領と同じことを言い始めている
バイデン氏は世論調査で大きくリードしているが、それでも共和党の選挙対策担当者はもちろん、バイデン氏の側近も、経済がおそらくバイデン氏の最大の弱点になるとみている。一方のトランプ陣営は、新型コロナウイルスのパンデミックによって景気が「作為的に」減速させられるまで、経済はトランプ政権の下で盛り上がっていた、との主張を試みている。
下院の共和党指導部は先日、世論調査に基づく説明を所属議員に行い、経済についてはトランプ氏の優位が続いていると伝えた。ニューヨーク・タイムズとシエナ大学による最近の世論調査によると、トランプ氏はバイデン氏に全体として14%も出遅れているが、唯一、経済関連の項目だけは強みを発揮できている可能性がある。
「どちらが経済のかじ取りに優れているかという問題は、トランプ氏にとって真に有利となる論点の1つだ」と、トランプ氏の経済再生タスクフォース(作業部会)に名を連ねる経済評論家のスティーブン・ムーア氏は語り、次のように付け加えた。トランプ政権による法人減税の一部取り消しを含むバイデン氏の政策は経済にダメージを与えだろう——。
「自由貿易擁護」のレッテル
バイデン氏は長きにわたって、自らを「アメリカ人労働者の擁護者」と位置づけてきた。オバマ政権では副大統領として中産階級タスクフォースを率い、リーマン・ショックに続く2009年の景気対策法の実施を見届けている。
だが1990年代に発効した北米自由貿易協定(NAFTA)や、これに続く他の貿易協定を支持したことで、バイデン氏はトランプ氏だけでなく、民主党の大統領候補指名を争ったサンダース上院議員などからも批判される立場にある。
トランプ陣営は9日、バイデン氏の過去の言動を「危険で愚か」と攻撃する新たなテレビ広告を発表し、1993年にバイデン氏がNAFTAに賛成票を投じたことや、過去に中国との通商関係と環太平洋パートナーシップ(TPP)協定を支持したことに世の中の注意を向けさせようとした。
ペンシルベニア州で行われた今回の演説は、予備選挙のときよりも突っ込んだ経済政策を示す場で、その詳細は今後数週間をかけてだんだんと明らかにされていく。バイデン氏はこの演説で、電気自動車や次世代通信規格5Gなどのテクノロジー開発に対する政府支出を3000億ドル増やすことと、連邦政府の調達で米国製品の購入額を4000億ドル増やすことを明確に打ち出した。
バイデン氏はこれを「大恐慌と第2次世界大戦以来の」水準の投資と説明し、人種的にも地理的にも、この国の隅々にまで繁栄を広げることを最優先する、と力を込めた。
「これらの資金は、黒人、褐色の肌の人たち、ネイティブアメリカンの起業家や都市、自治体など、歴史的に取り残されてきたコミュニティを含むアメリカのすべてを一致団結させる目的に使用される」とバイデン氏は述べた。