「新型レクサスLS」冬発売でも7月に発表した訳 コロナ禍でスローダウンする自動運転開発

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オリンピックに合わせての日本における自動運転ブームに冷や水をかけたコロナ禍。そうした現象は日本だけでなく、世界でも同様と言える。6月下旬には、ダイムラーとBMWによる自動運転の共同開発の一時中断が発表された。2019年7月に締結された2社の計画は約1年でご破算となったのだ。これもコロナ禍の影響がなかったとは言えないだろう。

BMWとの提携解消を発表した5日後、ダイムラーはNVIDIAとの提携を発表した(写真:ダイムラー)

また、世界各地で実施されていた自動運転の実証実験も同様だ。外出禁止令が開発のブレーキになったことは、間違いない。今年のコロナ禍によって、世界の自動運転関連の開発計画は、どこもスローダウンしたと言えるだろう。

しかし、これは一概に「悪かった」と言えないのではないだろうか。なぜなら、コロナ禍によって自動運転技術の開発にかける猶予が生まれたからだ。「コロナ禍だから予定通りに進まなくても仕方ない」というわけだ。

ここ数年の自動車業界は、自動運転の実用化に向けて邁進していた。冷静になって考えてみれば、自動運転は待望の技術ではあるが、今すぐ実用化できなくても困る人はそれほど存在しない。あくまで、次世代に向けての技術なのだ。

だが、あまりの注目の高さに、いつの間にか技術や法制度の整備を追い抜き、「○○年までの実用化」という目標が先行。技術的な目処が立つ前にゴールが設定されていたように見えた。そして、そのゴールの1つとして設定されたのが2020年。今年中に「レベル3の量産車を発売する」というのが、日本メーカーの目標となっていたのだ。

夢のある技術だからこそ着実な計画を

自動運転の実用化は甘くはない。開発の現場は、相当苦しそうに見える。コロナ禍がなかったら無事に目標をクリアできたのかというと、かなり怪しかっただろう。逆にコロナ禍のおかげで「貴重な時間を手に入れられた」と見えるのだ。

ここで立ち止まり、現在の技術や法制度などを吟味して、もう一度無理のない計画や目標を設定すると良いのではないだろうか。コロナ禍によって、これまでの計画通りには進まないのだから。自動運転は、夢のある話ではあるが、やはり技術的にも法的、社会感情的にも、まだまだ煮詰めが必要だ。慌てずに、それでいて着実に進める計画ができることを期待したい。

鈴木 ケンイチ モータージャーナリスト 

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すずき けんいち / Kenichi Suzuki

1966年生まれ。茨城県出身。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。レース経験あり。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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