底打ち? 需要ギャップ解消でマンション市場は回復か
2009年の首都圏のマンション供給戸数は前年比20%減の3・5万戸に落ち込み(不動産経済研究所調べ)、05年から4年連続の前年割れとなりそうだ。4万戸を下回るのは実に17年ぶりとなる。
今10年は下降トレンドから脱却し、上昇基調に転じることができるだろうか。同研究所によると、10年の供給戸数は前年比23%増の4・3万戸に回復すると予測している。
1次取得層の需要は依然、底堅い
同研究所企画調査部長の福田秋生氏は、「08~09年は業界にとって壊滅的状況だった」と振り返る。07年6月の建築基準法改正による工期の長期化や着工減にリーマンショックも重なり、金融機関の不動産向け融資は締めつけられた。09年前半まで新興・中小デベロッパーの倒産が相次ぎ、郊外の供給戸数は激減した。
ただ、08年に1万2000戸程度に積み上がったマンション在庫は、価格引き下げなどで7000戸を割り込むまでに縮小。完成物件が多い点は懸念材料だが、ほぼ適正水準に戻ったと言えるだろう。各社は用地取得に動き始めている。
今年は新規物件に加え、リーマンショック以降、工事が中断・延期されていた物件も復活する見込みだ。価格の値下がりや住宅取得優遇策の効果もあり、30代を中心とした1次取得層の潜在需要は底堅い。8万戸水準の供給が続いた00年代前半からすれば低水準だが、ようやく最悪期を脱するもようだ。
みずほ総合研究所の石澤卓志チーフ不動産アナリストは、「新年度から金融機関の不動産向け融資も弾力的になるとみられる。潜在需要も着実にあることから、供給戸数は徐々に回復するだろう」と分析。今後、数年間は4・5万~4・8万戸程度の供給が続くとしている。
ただし、供給戸数が増加しても、価格上昇には至らないようだ。石澤氏は「全体の価格下落は11年3月ごろまで続く」と予想する。