「i-MiEV」月販10台でも生産が続けられる理由 小型EVのメリットを浮き彫りにした立役者

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i‐MiEVは、現在では軽自動車ではなく登録車の扱いになっている。理由は、衝突安全性能向上のため、車体寸法をやや大きくしたからだ。それによって軽自動車規格を超えざるをえなかったが、「小さな高級車」「小さな高性能車」としてのi‐MiEVの特徴が変わるわけではない。

三菱は、昨年から「電動 DRIVE HOUSE」の取り組みを始めている。これは、太陽光発電を自宅に設置したり、「VtoH(ヴィークル・トゥ・ホーム)」に対応する機器の設置やその後の保守管理の手続きをしたりすることを、三菱の販売店でワンストップでできる仕組みだ。

三菱と日産は、東日本大震災のあとでEVによる支援活動に協力し、VtoHやクルマから電力を取り出して利用する「パワーボックス」の開発や販売を行ってきた。VtoHでは日産が先行したが、三菱もEVと自宅をつなぐ仕組みをワンストップで行い、消費者の手間を省くことに乗り出したのだ。

バッテリー価格の低下が次世代の鍵を握る

i‐MiEVの次を考えるとき、その予想はまだ何とも言い難い。軽自動車の開発と生産に関しては、三菱と日産が出資するNMKV(日産・三菱・軽・ヴィークル)で行っているが、EVに関してどうするのか。日産は昨年の東京モーターショーで独自に軽EVのコンセプトカーである「IMk」を出展したが、三菱から同様のクルマの公開はなかった。ただし今年7月になって、岡山県の水島工場に軽EV製造のための投資をすることを明らかにし、日産との共同開発を検討していると発表したのである。

東京モーターショー2019で発表された日産のコンセプトカー「IMk」(写真:日産自動車)

これまで述べてきたようにi‐MiEVの果たしてきた役割は大きく、軽EVがこれからのクルマの行く末を左右する可能性も十分にある。だから、軽EVにこそまず力を入れるべき分野だ、というのが私の考えだ。その軽EVの技術は、「アウトランダーPHEV」というSUVにも活用されているから、技術面での可能性も大きい。

現状、EVの最大の課題はリチウムイオンバッテリーの原価で、いかに安くできるかがEV普及の要となる。一方で、それさえ乗り切れれば、EVはあらゆる面でガソリンエンジン車以上の利点を持っていると言える。また、軽自動車の方が、より明確にそのメリットを実感できるのだ。EVを学ぶなら、上級車種よりもi‐MiEVを体験する方が、より大きな知見を得られるだろう。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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