令和2年7月豪雨に見た災害級の雨が多発する訳

東京19日続く雨、梅雨前線停滞するメカニズム

7月17日の天気図。日本付近に梅雨前線が長期間停滞している(出典:weathermap)

7月16日に気象庁は、「北・東・西日本の日照不足と長雨に関する全般気象情報」を発表し、今後2週間程度もくもりや雨の日が多く、日照時間が少なく、降水量の多い状態が続くと予想しています。

なぜ今年は梅雨前線が長く停滞しているのか。主に2つの原因があります。

1つは、太平洋高気圧です。

梅雨前線は、太平洋高気圧によって日本の南から北に押し上げられます。太平洋高気圧が日本付近に張り出すと梅雨前線は北上し、梅雨明けになるのです。

しかし今年は、日本付近への張り出しが弱いです。

太平洋高気圧の日本付近への張り出しが弱いのは、フィリピン近海の対流活動が弱いためだと考えられます。両者には相関関係があり、「PJ(ピージェー)パターン」といいます。

フィリピン付近の対流活動が弱くて積乱雲の発生が少ないため、今年はこれまで台風の発生数が少ないです。台風が発生すると太平洋高気圧の勢力が強まり日本付近へ張り出します。

もう1つは、偏西風です。

偏西風は大陸から日本に向かって吹く西風ですが、朝鮮半島から日本付近で南に蛇行しています。

今年の太平洋高気圧と偏西風(筆者作成)

蛇行する偏西風と張り出さない太平洋高気圧に挟まれて、梅雨前線は日本付近に停滞しているのです。

記録的な暖冬が影響

今回の豪雨で記録的な降水量になったのは、梅雨前線の停滞に加えて、日本近海の海面水温が高いことが影響していると考えられます。

昨年から今年にかけての冬は、記録的な暖冬でした。

暖冬の年は冬から海面水温が高く、この時期も平年より高くなっています。海面水温が高いと水蒸気量が多くなるため、梅雨前線に大量の湿った空気が流れ込んで前線の活動が活発になり、降水量が多くなったのでしょう。

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