26歳アイドル「あの日、私を襲った事故」の真実 猪狩ともか「突然、看板が倒れ、下敷きに…」
ほどなく人がまわりに集まり、人がかりで看板をどかしてくれたと聞きました。
「助かった……」頭の中は真っ白だったけれど、とにかく命は助かった、それだけはわかりました。
あとから聞いた話では、看板は木製で高さ2.8メートル、幅3.5メートル、重さは数百キロ。建物の敷地を飛び越え、歩道全体に覆いかぶさった状況だったそうです。
助けてくださった方はうつぶせになっている私を見て「これでは苦しいだろうから」と言いながら、仰向けにしてくれました。
「痛~~~~~ッ!!!」そのときです。今までに感じたことのない、信じられないほどの激痛が腰に走り、私は思わず絶叫していました。気が遠くなるほどの痛みでした。
「なんでこんなに痛いの」自分の身に何が起こっているのかわからず、思考停止状態に陥っていました。
「気を失いたい、意識が遠のいてほしい…」
そうこうするうちに、助けてくださった方が呼んでくれた救急車が到着し、ストレッチャーに乗せられ、病院に運ばれました。
救急車に乗せられるときも、車が走り出しても、身体が動くたび激痛が走るのです。それだけでなく、苦しくて息もできない……。
あとから聞いたのは、このときの私は胸髄(きょうずい)を損傷していて、肺に血がたまり、呼吸のできない状態だったそうです。
人間、あまりに痛いと意識が遠のくとか気絶するとか言いますよね。ドラマでもよくそんなシーンを見ます。
でも全然そうならない……。ずっと意識がある状態でした。
「こういうときって、意識を失うものじゃないの?」気を失いたいと、ずっとそればかり願っていました。とにかくラクになりたい、その一心でした……。
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