「1位を目指さない企業」が先細りする根本原因 ブランドの世界では「2位」じゃダメなんです

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自動車メーカーで、さらに細分化して差別化に成功しているブランドもあります。独特なデザインと完全受注生産で成功している、光岡自動車です。中には、すでに発売は終了しているものの1000万円を超える「オロチ」というスーパーカーもあったほどです。

「オロチ」(写真:VCG/getty)

大手がいるところは無理と思われがちですが、市場を細分化することで1位を獲得することが可能になるのです。

1位になれば「買ってもらえる」

ドラッグストアやバラエティーショップなどで、「楽天で売上No.1!」とか「@cosmeでナンバーワン!」といったシールが貼られた商品を見たことはないでしょうか。そういったシール(アテンションシールといいます)を見て、「なんとなく」購入したという経験が、1度くらいはあるのではないかと思います。

人は少ない金額の支払いだったとしても、買い物に失敗したくないのではないでしょうか。失敗しないためにどうしているかというと、世の中で売れていて、多くの人が買っている商品を選ぶのです。みんなが使っているから「間違いないだろう」「失敗しないだろう」と判断する方が多いようです。それゆえに、多くの企業やブランドは、何かしらの1位になろうと必死になっているのです。「何かしらの」というのがポイントです。

ぜひあなたも店頭で、あるいは@cosmeや楽天などで、「売上No.1!」といったアテンションシールが貼られた商品をよく見てみてください。

ナンバーワン表記の例(イラスト:『ブランディングが9割』より)

「1位だからすごいし、いろんなお客さんに評価されている」と思うかもしれません。しかし、必ず「※印」等で小さく、なぜ1位なのかが書かれています。

『ブランディングが9割』(青春出版社)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

日本全国で年間1位を獲得した商品のブランドもあるのですが、中には、「あるカテゴリーの中のある分野で、10月の第1週目の1位」など、とても限られたところで1位というものもあるのです。

小さいカテゴリーで、短い期間の中の1位であることがわかります。

「そんなのズルいじゃないか」という人もいるかもしれませんが、事実であることには変わりありません。それくらい、1位には魅力があるということです。

乙幡 満男 株式会社ブランドテーラー代表取締役

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おとはた みつお / Mitsuo Otohata

1974年生まれ。日本マーケティング学会会員。日本ブランド経営学会会員。大学卒業後、メーカーにて商品開発を担当。ブランド全体の売上・利益向上に貢献し、世界最大手のブランドコンサルティング会社が主催する「Japan Branding Awards」2018年最高賞受賞に導く。2018年にブランド開発及び商品開発のコンサルティング会社を創業し、現在、大手流通やメーカーなど様々な企業のブランドコンサルタントとして活動中。セミナーや執筆活動も行っている。

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