「安さがウリの会社」ほど実はファンが少ない訳 iPhoneが高額でも売れまくるのはなぜか?

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以前、ある企業で、ブランドをリニューアルしたときのことです。リニューアルするまで、従業員はそのブランドを「売らされている」と感じている人が多かったのですが、ブランドリニューアル後にヒアリングを行った際、「自ら売りたいブランドに変わった」という声が多く聞かれました。

「売らされている」と「自ら売りたい」と思うのとでは、雲泥の差があります。従業員が「売らされている」と思っていれば、それはお客さんにも伝わるでしょうし、「自ら売りたい」と思えれば、売り上げも大きく変わってくるでしょう。

優秀な人材の確保も楽になる

メリット6:採用が有利になる

ブランド力があれば、その商品やサービスを好きだからそこで働きたいという人も出てくるはずです。つまり、その会社で働きたいという意欲を持った優秀な人材を採用しやすくなるということです。

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知らない企業よりは知っている企業に親近感が湧くのも当然ですし、最近では、子供の就職活動に親が介入するとも言われているので、よりブランド認知の高い企業のほうが有利と言えます。また、アルバイト先を「ユニフォームがかわいいから」という理由で選ぶ人もいるそうです。

優良企業であっても、広く認知されていなければ、優秀な人材を確保しづらくなります。しかし、ブランド力が向上することにより、採用コストも下がるし、優秀な人材を確保しやすくなります。優秀な人材は大きな利益を生み出す可能性も高いため、採用の面においても、ブランド力の向上が会社に与える影響は大きいと言えるでしょう。

乙幡 満男 株式会社ブランドテーラー代表取締役

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おとはた みつお / Mitsuo Otohata

1974年生まれ。日本マーケティング学会会員。日本ブランド経営学会会員。大学卒業後、メーカーにて商品開発を担当。ブランド全体の売上・利益向上に貢献し、世界最大手のブランドコンサルティング会社が主催する「Japan Branding Awards」2018年最高賞受賞に導く。2018年にブランド開発及び商品開発のコンサルティング会社を創業し、現在、大手流通やメーカーなど様々な企業のブランドコンサルタントとして活動中。セミナーや執筆活動も行っている。

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