日本コカ・コーラ取締役会長・魚谷雅彦(Part5・最終回)--マーケティングは人生そのものだ

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 戦略的マーケティングとは、プロダクトアウト型ではありません。まずはどんなお客様にどんな価値を商品として提供するのかを経営陣が見極め、そのために必要な技術や製造販売方法などを選択し、一貫して取り組むことです。

ソーラー技術などの基礎技術レベルは日本は世界一なのに、民生レベルではドイツやスペインのシェアが上位ですよね。日本が技術立国である強みを生かして、お客様にとっていかに価値あるものに転換するかという、経営的な意味でのマーケティング発想がないとグローバル市場では勝てないんです。

この発想ができる会社が出てくると、おそらくCMOは日本でも社長に次ぐ重要なポジションに位置づけられるでしょう。

--人材マネジメントにおいて最も大切にしている価値観や信念はなんでしょう。

やはり、「質の高い、奥の深いコミュニケーション」です。留学先で、アメリカ人のコミュニケーションやプレゼンのうまさに圧倒され、劣等感にさいなまれました。そこでデール・カーネギースクールに通ったのですが、否定や非難をせずに一度相手を認めたうえで自分の意見を言うことの大切さを教わりました。

コミュニケーションとは、相手の話を聞くことから始まるんですよね。「あなた自身が自分の人生を情熱的に生きていなければ相手に思いなんか伝わりません」という教えも印象的で、MBAの授業以上に学ぶものがありました。

また、なるべく「性善説」に立とうと思っています。多くの会社では減点制度も多いですが、僕は部下から提案があればやらせてあげたいと考えています。

サポートはしてあげなければいけませんし、やるべきことをやらなかった場合は叱責しますが、一生懸命になっている人に対してはこの人ならできると信じて挑ませるよう心掛けています。

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