急拡大するESG投資で日本が抱える最大の課題 白井教授が語るエンゲージメントの重要性

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そして、日本の最大の問題点について白井氏は、「パリ協定の目標達成に向けた政府の方針がハッキリしないこと」を挙げる。

ときに誤解も拡散されるオンラインニュースの時代。解説部コラムニスト7人がそれぞれの専門性を武器に事実やデータを掘り下げてわかりやすく解説する、東洋経済のブリーフィングサイト。画像をクリックするとサイトにジャンプします

パリ協定を受け、各国は2030年に向けたGHG削減目標を出した。日本は2013年度比で26%削減するという目標を掲げている。26%削減は東日本大震災で停止された原子力発電所のおよそ6割程度を再稼働させることが前提。しかし、再稼働は想定どおりに進まず、代わりに石炭火力発電所の稼働と新設を増やしており、国内の全発電量の30%以上にも達した。

梶山弘志・経済産業相は7月3日、稼働年数が長くCO2排出の多い非効率な石炭火力発電所の段階的廃止の時期を2050年ごろから2030年ごろに前倒しする方針を表明した。もっとも排出量が相対的に少ない高効率の石炭火力発電所を新設する計画は変えていないため、国際的批判は今後も続くとみられる。

政府の方針見直しが企業の対応を左右

「この期に及んでまだ石炭火力を新設するのかと、世界的に猛烈な批判を浴びている。では原発も石炭火力も増やせないとなると、目標達成のためにどうするのか。政府は来年に見直すと言っているが、約束した26%削減をどのようなエネルギーミックスでやるのか。それを明確にすることが問われている」

現在、日本企業の多くが2030年といった中長期的なGHG削減目標を掲げているが、政府の方針見直しが各社の目標に大きな影響を及ぼすのは必至。「その深刻さを意識している企業はまだ多くはない。今後、企業も再エネの利用を増やすなど、もっと真剣に取り組む必要が出てくるだろう」。

日本の政府も企業も、気候変動への取り組みが国際社会における死活問題につながるという認識を高めるとともに、国としてのクリアな方針を世界に向けて早期に示す必要がある。

中村 稔 東洋経済 編集委員
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