婚活中の読者に言っておきたい。婚活アプリに代表されるネット婚活には、玉石混交の中から玉をつかみ出すITリテラシーと強運が求められる。コピペすら知らずに愚直に謝罪文を書いて送った真由さんは明らかに向いていない。そして、実際に既婚者という「ババ」を引いてしまったのだ。
「当時、ネットで知り合った男性に殺されてしまった女性のニュースがありました。これは危ないと思って、メールを交換していた男の人たちとも会うことは避けていたんです。でも、信二さんは一番押しが強かったし、私が断ると『そちらのペースでOK』という感じで引いてくれました」
結果論かもしれないが、「押してほしいときに押してくれるけれど無理強いはしない」のは浮気している既婚者の典型である。女性の扱いに慣れていることもあるし、自分には守るべき家庭があるために当然ながら無理はしない。
結婚する気はないけれど「都合のいい相手」を婚活アプリなどで探している独身者も同様だ。海辺で遊んでいる写真を「軽いノリ」でプロフィールに掲載した真由さんは、遊び目的で会っても構わないと思われた可能性が高い。
「信二さんと付き合い始めて数カ月後のことでした。女友達に彼氏ができたことを報告したら、彼の名前でFacebookを検索してくれたんです。同姓同名の人物が出てきて家庭があることがわかりました。私は信じたくなかったのですが、信二さんがいつも乗っているロードバイクの写真が出てきて……」
真由さんはすぐに信二さんに抗議の電話をかけた。自宅で家族と寛いでいたらしい信二さんは「あなた、誰ですか。何を言っているんですか?」と冷たく電話を切ったという。
既婚者だった彼から弁明と謝罪、そして…
「でも、2日後に『説明させてほしい、申し訳なかった』というメールが来たんです。私も仕事が手につかないぐらい動揺していて、自分の中でうまく消化できていなかったので弁解を聞いてやろう、と思いました」
待ち合わせ場所の喫茶店に行ったところ、先に座って待っていた信二さんはノートいっぱいに弁解と謝罪を書いて待っていた。結婚して14年、子どもが3人もいるけれど妻とは5年ほど前から「仮面夫婦」になっている。食事すら作ってもらえないので離婚を考えたこともあるけれど子どもがかわいいので踏み切れなかった。でも、ぬくもりが欲しいので結婚サイトに登録してしまった。本当にすみませんでした、などなど。
弁解にもなっていない理由だが、許さなければ自分が前に進めない。真由さんはそのときのセリフを再現してくれた。
「それ、順番が違っていますよね。私が原因で誰かの家庭を壊したくありません。でも、ちゃんとここに来て謝ってくれたあなたを許します。私自身のためにも許したいんです。だから、反省しながら、子どもたちを大切にして生きていってください」
それを聞いた信二さんは人目をはばからずボロ泣き。真由さんも号泣した。喫茶店のスタッフはぎょっとしたことだろう。そして、信二さんは「家庭は終わりにして、あなたと結婚したい」と言い始めた。懲りない人だ。
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