■ CEOへの道は、職業としての“社長”を選び、第一線で活躍するプロによるトークセッション。将来、経営層を目指すオーディエンスに、自らの経験とノウハウを語る。
--なぜコロンビア大学を選ばれたのですか。
マーケティング専攻を考えていたので、生活者の実態をはじめ、消費財の企業がどんなマーケティングのマネジメントをやっているのか、ブランドマネジャーとは何なのか、現場を見たいと思っていました。
コロンビア大学のあるニューヨークは、消費や広告の最前線ですし、合弁会社のブリストル・マイヤーズもあったのでここを選びました。
--不況のため留学制度を縮小するという声もあちこちから聞こえてきます。企業における留学制度に関して、経営者の方たちに何かメッセージはありますか。
留学は、企業の置かれている状況によってさまざまな判断があると思います。ただ、やろうと思った場合は、人事の制度としてやってはいけません。ビジネス上のニーズからくる人材育成投資としてとらえることが必要です。
当時も留学ははやっていましたが、どの企業も「海外を経験させよう、英語を勉強させよう」という域を出ていませんでした。僕のときも、人事は会社を国際化させるためのロールモデルとして一生懸命に取り組んでいたと思うのですが、経営トップ層にその気があまりなかったように思います。
帰国後は海外の合弁企業とかかわってブランドマネジメントをやりたいと思っており、インフォーマルでしたが人事からも希望どおりの配属になると内示も出ていたんです。ところが、いざ成田に着いたら人事課長がわざわざ迎えに来ていて、「申し訳ないけど大阪でまた営業を」と言われてしまいました。
誰かが、エリート扱いすると使い物にならないから“リハビリ”が必要だと言ったらしいんです。