日本コカ・コーラ取締役会長・魚谷雅彦(Part2)--最近丸くなっちゃって。この妻の言葉は突き刺さりました

✎ 1〜 ✎ 25 ✎ 26 ✎ 27 ✎ 最新
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小


 上司を経由するごとに企画もカドがとれてまん丸くなってしまったり、やり直せと言われたり。僕の経歴を見て「なんだこいつ」と思った人もいたかもしれません。プロダクトマネジャーになって4年経過した頃でしょうか、上司にいろいろ言われるから最初から丸くしとこうかなんて言いながら家で企画書を書いていると、ある日妻が僕に言ったんです。

「留学から帰ってきた頃の意気揚々としていた勢いはどこに? 最近何か丸くなっちゃって」

この妻の言葉は胸に突き刺さりました。このままでいいのかと潜在的に思っていたんですね。そのとき転職しようかなと思いました。

社内ではそろそろアメリカの国際事業部へ行かないかという声掛けもあったんです。ぜひ行きたいと思っていたのですが、辞令が1年半しても下りない。全社員にTOEICを受けろと言っている割には海外行きの話がなかなか実現しないんです。

本来、ビジネスのニーズがあるから人事があるわけで、放っておけるものではないはず。本人の意欲もありますし、人事はスピード感を持ってやらないといけませんね。会社の戦略実行力に疑問を抱いていたという背景もあったので、妻の一言をきっかけに辞める決意をしました。

転職をする際、奥さんの影響度というのはどの家庭でも強いものだと思いますが、たまたま僕の家内は、好きなことをするのが大事だと思ってくれる人。「辞めたら?」と賛成してくれました。

妻は大阪商人の家庭で育ったからか、大企業や1部上場企業というこだわりもまったくありません。いい加減といえばいい加減なんですが(笑)。当時、2人目の子どもがおなかにいたので、家庭的にはリスクがあった時なのによく言ってくれたと思います。
 
(写真:田中庸介/アフロ)

うおたに・まさひこ
 日本コカ・コーラ株式会社取締役会長。1954年奈良県生まれ、同志社大学文学部卒業、米国コロンビア大学ビジネススクールにてMBA取得。77年ライオン入社、販売とマーケティング関連職を歴任。91年フィリップモリスの食品事業部門であるクラフト・ジャパン副社長、日本事業の統括責任者を務める。94年、日本コカ・コーラ入社、副社長コンシューマーマーケティングナショナルブランド担当。2001年社長就任。06年会長就任。08年NTTドコモ顧問就任。
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事