アメリカがコロナでボロボロでも沈まないワケ 独立記念日どころじゃないのになぜなのか?

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近年の日本経済は、人手不足時代を反映して女性や高齢者が労働市場に参入していた。ところがアフターコロナでは、その人たちが追い出されている。職種的には飲食業や宿泊業、娯楽関連などが多いので、コロナの影響をもろに受けている分野である。早く営業活動の再開ができればいいのだが、その前に「我慢の限界」が来てしまうかもしれない。

アメリカはその点、我慢をしない。アフターコロナでは、高級百貨店ニーマン・マーカスやレンタカー大手のハーツなど、著名企業の倒産が相次いでいる。ただし百貨店やレンタカーは、コロナ以前に斜陽産業であった。すでに百貨店はアマゾンなどのEコマース、レンタカーはウーバーなどの配車サービスという強敵がいた。アメリカ経済の変化は速い。失業率がこれだけ急変するのは、アメリカ経済の弱点ではなく、むしろ長所なのだと考えた方がいい。

それを象徴するのが、最近のナスダック市場である。総合指数は1万ポイントを超えて連日のように史上最高値を更新しているが、「GAFA」やマイクロソフト、ネットフリックスなどは「コロナ禍」をむしろビジネスチャンスにし続けている。またビデオ会議のZoomのように、リモート社会に不可欠な機能を提供してくれる会社もある。そして電気自動車メーカーのテスラは、時価総額でとうとうトヨタ自動車を抜いた。

Covid-19(新型コロナウイルス)による死者はすでに全米で12万人を超え、ベトナム戦争の死者数どころか、第1次世界大戦の死者数よりも多くなった。これはもう「コロナ敗戦」と言っても過言ではない。ところがこれでアメリカ経済が没落するかと言えば、答えはたぶんノーだ。むしろアフターコロナの新産業やサービスは、多くはアメリカから誕生するのではないかと思う。

さて、7月4日はアメリカの独立記念日だ。通常であれば、首都ワシントンDCではパレードや屋外コンサートが行われ、花火が盛大に打ち上げられる。ところが今年はご案内の通り、コロナウイルスの問題がある。ミュリエル・バウザー・ワシントン市長は市民に対し、連休中の外出を控えるように要請している。一方でトランプ大統領は、モールと呼ばれる緑地帯で大規模な花火大会を計画している。コロナなんて気にしないで、景気を盛り上げて行こうというわけだ。

アメリカ政治は見苦しいほどに分裂し、今やトランプ支持者と反トランプ派は、ともに独立記念日も祝えない状態になっている。ただしアメリカ経済を評価するときは、これとは違う視点から物事を見る必要がある(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

次ページここからは競馬コーナー。下半期は福島からスタート
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