南アフリカ現地ルポ--勃興する黒人中間層、黒いダイヤの光と影

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 売れ筋は大型スピーカーがいくつもついたド迫力のステレオ。ソニーは、現地語で強力な音を意味するMGONGOというキャッチコピーを付けステレオ製品を販売。さらに、09年12月からはKhumbula(思い出は永遠)というキャッチコピーで、黒人層向けのカメラの拡販にも乗り出した。

現地法人で働く唯一の日本人社員で、黒人向けチャネル開拓の立役者である六車(むぐるま)進マーケティングディレクターは「黒人に対して製品をアピールするにはファニチャー・ショップは最高のチャネル」と言う。

家具屋は分割払いに伴う金利収入という大きな収入源があるため、メーカーに対する仕入れ割引の要求も強くない。そのため利益的な貢献も大きいようだ。

ソニーはFIFAのオフィシャルパートナーであり、W杯を生かしたブランド戦略も進めている。08年にヨハネスブルク市内4カ所にソニー専門店「ソニーセンター」を開設したのも、ブランド強化のため。10年3月までにダーバン、ケープタウンにも専門店を設ける予定だ。

ソニーセンター、大手量販店、独立系ショップ、家具屋など、客層に応じたチャネルを使い分けることにより、韓国ブランドや中国ブランドとの激しいシェア争いを有利に進めていくことを目指す。

ブラック・ダイヤモンドの勃興により、南アでは洗練された消費社会が育ちつつある。が、解決の難しい課題も山積している。

まずは経済成長の必然として格差問題が深刻化している。ソウェトにも高級住宅街から貧民街まであり、外国からの移民をはじめとする最下層の人々は水道、風呂、トイレのない長屋のような家に住んでいる。政府は、94年から08年までにトイレ、水道などが備わった小さな一戸建て住居を270万戸無償供給してきたが、まだまだ不足している。

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