「第2波必ず来る」医療従事者が恐れる英国の今 段階的にロックダウン解除され始めているが

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徐々にとはいえ、「日常」に戻っているように見えるイギリスだが、新型コロナの終息には程遠い。6月下旬、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は新型コロナの1日当たりの感染者数がさらに増えたことを挙げ、「パンデミックは加速中だ」と発言している。

アメリカ大陸や中東では依然、感染拡大は続いている。いったんは落ち着きをみせている国や地域でも集団感染が起り、一度は緩和された外出制限などが再開されているケースもある。

WHOの欧州地域事務局のクルーゲ局長は欧州での感染者の再びの増大を指摘して注意を呼びかけている。韓国では急激な感染増加により第2波が懸念されており、一部の施設が閉鎖に。WHOのテドロス事務局長を始めとした各リーダーは「都市封鎖などの解除による気の緩み」に懸念を示している。

病院と「それ以外」の予防対策に大差

こうした中、イギリスでもロックダウンの段階的解除が始まったわけだが、いくつかの懸念が残る。

1つ目は、施設によって予防対策が異なることだ。現在、ほとんどの施設や店では入り口で検温を行い、建物内への入場人数をコントールしている。筆者が勤務する病院でも厳しく行われており、病院の入り口では患者や付き添い者など全員に消毒を勧め、していない人にはマスクを配布している。

また、患者と付き添い者には、過去2週間「発熱、喉の痛みなど新型コロナのような症状はないか」「新型コロナ患者、あるいは感染の疑いのある人との接触はないか」など聞き取り調査を含めたトリアージを行う。

上記に1つでも当てはまれば、患者なら専用場所に「隔離」して一般の患者とは接触しないようにする。入院患者は必ずPCR検査を受けなければならない。コロナ感染患者と直接接触しない医療従事者はこれまで、マスク着用は任意だったが、現在は院内では全員着用が国から義務付けられている。

余談だが筆者が先日、娘を歯科医に連れて行った際、入り口で上記とまったく同じ質問を受けた。病院勤務の筆者は予想通り建物に入ることはできなかった。

このように病院などでは国からの要請で予防対策を徹底している一方、飲食店や商業施設など人の集まる場所での具体的なきちんとした指針はまだ出されていない。

国が感染予防の1つとして期待し、5月から試験運用していた「コロナ接触追跡アプリ」も、6月18日に独自開発を断念したことを発表した。3月から開発準備を進めてきたが、技術面での問題で遅れが出た上に、今度はセキュリティの問題も出てきて断念をせざるをえなくなった格好だ。

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