消費税8%後の勝者は誰だ 小売激変
この難局を各社どう乗り切る??
業界でM&Aが加速 セブンはオムニ再編
小売業界では昨年からM&A(企業の合併・買収)が増えている。業界首位のセブン&アイ・ホールディングスは今年1月、カタログ通販最大手のニッセンホールディングスや雑貨店「フランフラン」を展開するバルスなど、計4社に資本参加。イオンも昨年8月にダイエーを名実共に傘下に収めた。M&Aは業態を問わず起きており、ある食品スーパーの幹部は、「M&Aの案件はしょっちゅう舞い込んでいる」と明かす。
背景には業界特有の事情もある。高度成長期に勃興した小売企業の多くが、ちょうど代替わりの時期を迎えているのだ。「後継者難からM&Aに発展するケースが多い」(M&A仲介会社幹部)。円安に伴う仕入れコスト増への対応も大きな課題だ。
今後も業界でM&Aが加速することは間違いない。注目すべきは、従来のような同じ業態同士の統合だけではないということだ。ネットとリアルの融合=オムニチャネル戦略を掲げ、通販や専門店などを取り込むセブン&アイはその代表例。異業種との融合はさらに増えるだろう。
本特集では、業界再編の真意と、各社の新戦略を検証する。消費増税後の真の勝者は誰だ。
ネット企業のO2O戦略が加速
スマートフォンの「楽天チェック」アプリで紹介された池袋パルコ7階のレストランフロア。到着後、アプリを立ち上げチェックインボタンを押すと、何も買わずして「楽天スーパーポイント」が30ポイント貯まった。ポイントは「楽天市場」などで使うことができる。
このようなサービスを来店ポイントといい、楽天、リクルートなどのネット企業が相次いで参入している(左表)。来店ポイントのように、ネット利用者をリアル店舗に誘導する施策がO2O(オンライン・ツー・オフライン)。今、ネット、小売り各社が熱視線を注ぐ分野だ。
積極的な取り組みが目立つのが商業施設大手のパルコ。過去1年、O2Oのサービスを手当たり次第に導入してきたといってもいいほどだ。
来店ポイントでは表に挙げた四つのサービスすべてに参画。ユーザーが行きたい場所を保存しておくと、近くに来たときにスマホに通知する頓智ドットの「tab」にも参加する。LINEの公式アカウントと「LINE@」では、クーポンなどの情報を発信している。
「パルコのウェブサイトへのアクセスの7割がスマホ経由。ここ1年くらいでさまざまなO2Oサービスが出てきたこともあり、やって当然だと考えている」と昨年3月に新設されたWEBコミュニケーション部の島袋孝一業務課長は語る。
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