理想のマンション「何駅」郊外に行けば買えるか 在宅勤務普及で広さに注目、都内4路線を検証

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冒頭で示した小田急小田原線では、新築80㎡が購入できる駅で「小田急相模原」を挙げた。だが実際には、駅徒歩圏内で分譲されている「レーベン小田急相模原Vuitoa」での最も広い住戸は、現在の販売期では73.87㎡だ。

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仮に広い住戸があったとしても、「プレミアム」扱いとして価格が上乗せされているマンションが少なくない。本稿で示した駅別価格はあくまで平均価格を㎡当たりの価格で割り戻している。実際の販売価格には軽重があり、プレミアム住戸は予算内に収まらない可能性が高い。

たとえば、関電不動産開発が田園都市線の宮崎台駅から徒歩10分の場所で分譲している「シエリア宮崎台」。記事執筆時点では70㎡の住戸が3998万円で販売されており、80㎡換算で4500万円台と、同駅における平均価格よりもお買い得だ。

だが、間取り図を見ると80㎡超の住戸はいずれも角部屋に設定されている。採光や眺望に優れる角部屋はほかの住戸よりも価格が高く設定されていることが多い。実際、85㎡台の住戸の販売価格は6546万円で、80㎡換算では6160万円と予算オーバーになる。

広さがダメなら部屋数で勝負

在宅勤務の普及により広い住戸が求められるようになると、広さも供給も絞るという新築マンションの戦略は顧客に受け入れられなくなる。そこでデベロッパーは「部屋数」を増やしたりことで対応する。三菱地所は大人1人が入れる木製の「箱の間」を、自社分譲マンションを対象に展開する。リフォームなしで部屋数を増やすことができる。

大規模マンションでは、 共用施設のラウンジやスタディルームを書斎代わりにしている物件もある。予算の制約で住戸を広げられない中では、住戸内の部屋数や自由に使える共用施設をどう増やしていくかが、アフターコロナのマンション業界を勝ち抜くカギとなりそうだ。

一井 純 東洋経済 記者

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いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

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