理想のマンション「何駅」郊外に行けば買えるか 在宅勤務普及で広さに注目、都内4路線を検証

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「地価の安い郊外に行かないと広い住戸が買えない」という現実が如実に表れたのが小田急小田原線だ。68.2㎡の場合、新宿から出発して代々木上原や下北沢といった人気エリアを経て、最初に予算内に収まるのが新宿から14駅を数えた喜多見だ。なお、参考価格ではあるが、経堂駅から徒歩10分の「ザ・グラント経堂」では、71.54㎡の住戸が5280万円で販売されており、こちらも手が届きそうだ。

表では68.2㎡の新築住戸の価格が予算内(平均購入価格5517万円)の場合、赤で表示した。そして、80㎡の新築住戸が予算に収まる場合を黄色で示したが、小田急線では新宿から28駅の小田急相模原まで進む必要がある。参考価格でも75.33㎡が4,596万円(80㎡換算で4880万円)で販売されている「ライフレビュー新百合ヶ丘」の最寄り駅である新百合ヶ丘が精いっぱいだ(ただしこのマンションには76.8㎡以上の間取りはない)。

以上の仮定は、あくまで「新築」にこだわった場合だ。中古マンションでも許容できるなら、参考価格ベースでは登戸まで近づく。表では80㎡の中古マンションを予算内で買える場合を青で示したが、町田や相模大野といった利便性の高い駅も選択肢に入ることがわかる。

JR中央・総武線でも中古に訴求力あり

近年供給される新築マンションは用地費や建築費が上昇しており、販売価格は高止まりの状態だ。不動産経済研究所によれば、首都圏の新築マンションの平均価格は、2010年に4716万円だったのが2019年には5980万円まで上昇した。相対的に割安な中古マンションの訴求力は、いやが上にも高まっている。

同じく中古の優位性がにじんだのがJR中央・総武線だ。価格高騰を象徴するかのように、新築マンションでは予算オーバーの駅が続く。ようやく予算内に収まるのが、新宿から18駅を数えた豊田だ。なお、参考価格ではあるが、三菱地所が分譲している西国分寺駅から徒歩10分の「ザ・パークハウス 国分寺四季の杜」では、記事執筆時点で70.72㎡の住戸が5321万円で販売されている。

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