過激な挑発行動に出た「北朝鮮」のあまりの窮状 新型コロナで国内の不満がマックスに

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金正恩は昨年、アメリカのトランプ大統領とのベトナム・ハノイでの2度目の首脳会談で制裁解除を試みたがこれに失敗、これがアメリカによる北朝鮮政策の見直しにつながった。2019年の大きな政策転換で、北朝鮮指導部はかつて彼らのイデオロギーの合言葉であった「自立」の必要性を再強調した。今では、「自立とは、国家ではなく自分自身が自立することを意味する 」とブラウンは話す。

北朝鮮政権のアキレス腱は金融政策である、とブラウンは指摘する。制御不能なインフレのおそれがあったため、金融引き締めを行っており、ウォンの印刷を制限してきた。

企業に「自立」を求めるように

このおかげで、為替レートはここ5年ほど安定しており、流通している通貨の使用も増えた。一方、国が国営企業に資金を投入できなくなっており、ブラウンによると、「政府は鉄鋼企業などに対して、“自立”を求めるようになっている」。

観光や貿易、通貨の流れがなくなったことを受けて政府は4月半ば、17年ぶりに国債を発行すると発表した。国債は、平壌の大規模な新病院建設などの国家プロジェクトを遂行するために必要な資材を工場に支払うための現金の代わりに使われることになっていた。これにはまた、個人や企業がドルなどの現金をため込んでいたものを、債券と引き替えに現金化させる狙いもあった。

この決定は非常に不評で、政府は抵抗勢力を取り締まっている。亡命者のネットワークを駆使するデイリーNKの報道によると、鉱山会社の取締役が会議で国債発行を批判したとして国家保安部に逮捕され、処刑された。

また、北朝鮮当局は4月、民間業者に対し、多額の外貨を政権に渡し、承認されたリストから輸入し、その半分を政府に渡す必要がある場合に限り、活動を再開できると伝えたと報じられている。密輸業者は、収益性の高い電化製品から離れ、基本的な食料品に集中するように命じられた。ラジオ・フリー・アジアが5月11日に報じたところによると、国家はほとんどの取引に外貨の使用を禁止した。

6月6日と7日に金正恩氏が議長を務めた朝鮮労働党幹部会議では、経済状況に焦点が当てられた。肥料を中心とした化学工業を「自立」ベースで早急に再構築する必要性が議題のトップに挙げられた。

制裁と国境封鎖により、「農家は肥料、プラスチックシート、スペアパーツ、燃料、トラクターはもちろん、必要な投入物を手に入れることができない」と、この1年間、平壌以外の地域にも足を運んできた支援機関職員は報告する。「北朝鮮は困難な時代に向かっている」。

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