過激な挑発行動に出た「北朝鮮」のあまりの窮状 新型コロナで国内の不満がマックスに
北朝鮮経済は昨年も厳しい状況にあったが、中国とロシアの公式、そして制裁を逃れるための非公式の貿易、そして市場の役割が大きくなっていることもあって、管理できる状況にあった。
「全体的な状況は、過去数年に比べて緩やかに改善している」と、北朝鮮を定期的に訪れている欧米の支援機関職員は昨年末報告している。「これは人々が市場を通じてお金を得られるようになったこともあって、生き残ろうとしていることを反映している」。
国境封鎖で経済が大打撃
こうした中、新型コロナが発生した。北朝鮮政府は過去にSARSとエボラの流行を経験している、と北朝鮮の医療システムに詳しい支援機関の職員は話す。それもあって、北朝鮮は1月21日に中国との国境を封鎖、中国側もこれに続いた。アメリカの関係者によると、密輸活動を取り締まるために、朝鮮人民軍の追加部隊が国境に配備された。
「北朝鮮には選択の余地はなかった」とこの関係者は話す。「政府は何が起こるかわかっていて、そうするよりほかなかった。自国の医療システムの脆弱さをわかっているからだ」。
国境封鎖によって観光客の流入やお金の流れは止まり、中国からのわずかな投資もなくなり、公式・非公式の貿易も消滅した。ほぼ一夜にして中国から北朝鮮への輸出はほとんどなくなり、北朝鮮から中国への公式輸出もほぼゼロになった。一部の密輸は続いているようだが、政治アナリストは国境封鎖がこれにも影響していると見ている。要するに、中国からの資金の流れは完全に尽きた、ということだ。
ウイルスによる景気後退は、経済における国営部門がすでにシステム崩壊に直面しているところに起きた。「北朝鮮の計画制度はすでに崩壊している」と、元中央情報局(CIA)アナリストで、北朝鮮と中国経済を専門とするウィリアム・ブラウンは言う。
同氏によると、北朝鮮は今年で終了する5年計画に代わる新たな5年計画については言及していない。北朝鮮経済における重要な事業――主に鉄鋼やその他の主要商品を生産する大規模な国営企業――は、依然計画制度にのっとって製品を生産してそれを配給し、労働者に対しては賃金を支払っている。
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