金正恩「重体説」「死亡説」、どちらが正しいのか 錯綜する情報、それでも北朝鮮は沈黙を守る

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北朝鮮の金正恩委員長の動静をめぐって情報が錯綜している(写真::EPA=時事 )

重体説と死亡説――。北朝鮮の最高指導者の動静について、韓国や日本、アメリカなどが情報収集に血眼となっている。

朝鮮労働党の金正恩委員長が2週間以上、公の場での活動が感知されていないためだ。

各国の報道は、「まもなく公開活動が北朝鮮メディアから報道されるだろう」という見方と、「なんらかの健康異常が発生し、重体に陥った」という見方に分かれている。韓国メディアの中には「金正恩死亡」との予定原稿を誤って出してしまったり、日本のメディアの中にも「すでに死亡している」と報道しているところもある。それだけ情報が錯綜している。

騒動のきっかけとなった2つの報道

今回の騒動のきっかけとなったのは、2つの報道だ。1つは韓国の北朝鮮専門ニュースサイトである「デイリーNK」の報道だ。4月20日、「金委員長が4月12日に北朝鮮西北部・平安北道の病院で心血管疾患の手術を受けた。平壌から医師が大挙派遣されたが、術後の経過がよいので多くの医師が平壌から戻った」と報じた。

もう1つは、アメリカのCNNによる4月21日の報道だ。アメリカ政府当局者の話として、金委員長が「重大な危険に陥っているという情報がある」と報じた。韓米双方のメディアがほぼ同時に報道したため、重体説への信用度が高まった。その後、「中国から医師団が派遣された」「手術したものの脳死状態になった」といった報道が流れている。

2つの報道を後押しするような背景もある。それは、金委員長の祖父である故・金日成主席の遺体が眠る平壌・錦繍山太陽宮殿を、金委員長が4月15日に参拝しなかったことだ。4月15日は金主席の誕生日であり、「太陽節」として北朝鮮では最大の祝日である。この日に金委員長は首脳部とともに宮殿を訪れ、参拝するのがこれまでの通例だった。

今年は幹部が参拝したという報道はあったが、そこには金委員長の名前はなかった。その4日前の4月11日には、朝鮮労働党中央委員会政治局会議が開催され、会議を仕切る金委員長の写真も報道された。そのため、突然の参拝中止に疑問が持たれていた最中だった。

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