6月17日、大手企業の夏のボーナスが前年比6%減の見込みであることが経団連から発表されました。平均92万6000円という数字は多くの企業が3月までに妥結したもので、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済の悪影響はそれほど織り込まれていないといいます。今夏、実際に受け取るボーナスは、これよりも一段と少なくなる可能性が指摘されています。
ボーナス減によって家計のやりくりがきつくなったら、節約を考える人が多いでしょう。ところが今年は、平時よりも節約が難しいと筆者は考えています。それはコロナによって、生活費のかかり方が大きく変わってしまったからです。自身でもこの数カ月を振り返ると、以前はそれほどお金をかけなかったマスクや消毒グッズ、自粛生活や在宅勤務のための通信費の支出が急増し、逆にいつもかさみがちだった外食費や交通費が驚くほどかかりませんでした。
コロナによる生活費の変化は全国的にも見られています。総務省は今年4月分の家計調査報告で、新型コロナによる外出自粛や緊急事態宣言の影響でとくに変動が激しかった費目について、異例の追加資料を公表しました。それは、コロナがいかに経済と私たちの生活に強烈なインパクトを与えたかを、まざまざと見せつける数字でした。
激変した家計消費
例えば外食費は前年同月比63%、飲酒代は90%も減少しました。反面、チューハイ・カクテルへの支出は42%増加。パスタ(70%増)、インスタント麺(43%増)などとともに、食費では自宅で飲食できるものへの支出が急増しました。
娯楽への支出も激変しました。旅行、宿泊、遊園地や文化施設、映画・演劇への支出が90%超も減った一方、ゲーム機やゲームソフトは増加。とくにゲームソフトへの支出は10倍以上にも上りました。また、外出が減ったことで被服費や化粧品への支出も大幅に減少しています。
こうした支出の変化は、コロナによる突発的・例外的なものです。しかしこの先withコロナの生活を考えると、このような激変が再びないとも限りません。今、あれほど手に入らなかったマスクの価格が下がり、トイレットペーパーや納豆まで店頭から消えた記憶はもはや薄れてしまいましたが、あの異常事態を一時の例外としてしまうのはいささか拙速だと思います。
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