プロ野球開幕、セ・パリーグの足並み乱れたなぜ セはCSなしでパはCSあり、一枚岩になれず…

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今季は新型コロナ禍で、MLBと大リーグ選手会は、開幕をめぐって深刻な対立状態になってしまった。MLB30球団はバド・セリグの後任であるロブ・マンフレッドコミッショナーの下に選手会と対峙している。MLBの対立軸は両リーグ間ではなく、球団と選手間になっており、2020年シーズンの開幕に向け合意ができるかまだわかっていない。

NPBでは、2004年に球界再編騒動が起こる。球団経営者側が近鉄などの球団の合併によって1リーグ10球団に移行すると発表したが、古田敦也会長率いるプロ野球選手会がストライキを実行するなど強硬に反対、新球団楽天の加盟もあって、2リーグ12球団の体制が維持された。

そしてこのときにNPBもリーグの垣根を越えて両リーグのチームが対戦する「交流戦」が2005年から実施することが決められたのだ。

以後、パ・リーグを中心に各球団は本拠地顧客に対する強力なマーケティングを展開。旧来の放映権ビジネスが衰退する中で、地元密着型の入場料、フランチャイズ、ライセンスビジネスが発達した。そして2019年には史上最多の2653万人を動員するに至る。交流戦も定着し、両リーグの垣根は低くなったような印象がある。

日程をそろえることも必要だったのではないか

しかしながら、セ・パは今季の開幕で、異なる日程を組んだ。

筆者は各球団に取材申請をするが、その対応は両リーグでいまだにかなり違う。いわく言い難いが「文化が違う」という印象だ。

興行面で言えば「二大リーグ制」は、ペントレースを複雑にして興趣を盛り上げ、ポストシーズンも充実させる成功したビジネスモデルだ。その後北米に誕生したプロスポーツリーグNBA、NFL、NHLも二大リーグ(カンファレンス)制を採用して成功している。MLB傘下のマイナーリーグ、ドミニカ共和国などのウィンターリーグも二大リーグ制だ。

二つのリーグが切磋琢磨することで、人気が高まり、繁栄するのだ。しかしライバル意識は、あくまで「競技」の次元であって、興行面や社会的アピール面では一枚岩であるべきだ。

新型コロナ禍という未曽有の災難は、社会の仕組みを揺るがしかねない。日本野球も、今後、大きな試練を迎えるだろう。そのリーダーたるプロ野球は、小さなことであれ一枚岩になってほしい。両リーグは確執を超えて手を携え、難局にあたらなければならない。

広尾 晃 ライター

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ひろお こう / Kou Hiroo

1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイースト・プレス)、『もし、あの野球選手がこうなっていたら~データで読み解くプロ野球「たられば」ワールド~』(オークラ出版)など。

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