iDeCoは60歳で受け取るとメリットが減る理由 2022年以降の制度改正を最大限に活用しよう

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とくに、2022年5月1日までに60歳を迎える、現在58歳から59歳のiDeCo加入者は要注意です。こうした方々が60歳になる時点においては、まだ制度上60歳以上の加入は認められていません。いったんは加入資格を喪失して、受け取る権利だけを得るという方も多いでしょう。そうして、60歳以降は積み立てを一切しないということであれば、受け取っても問題はありません。

しかしそこですぐに受け取ってしまうと、2022年5月1日以降iDeCoに加入できる権利を放棄する、ということになります。できるだけ長く積み立てたいと思っていたのに、後で「しまった!」ということになりかねません。「受け取ること」と、「加入すること」は一見関係なさそうですが、受け取りを始めると再加入ができない。この点に注意が必要なのです。

現在57歳以下のiDeCo加入者も、60歳以降に受け取り手続きができるようになると通知が届きます。その際、60歳以降も積み増しするつもりであれば、「受け取りは先延ばしするほうがいい」と覚えておいてください。iDeCoは税制上の恩典が多いですから、それらを最大限活用して、有利に老後に備えていただきたいと思います。

60歳で企業型DCから乗り換える裏技

一方で、企業型DCに加入している方の中には、企業型は60歳までしか加入が認められていないから60歳以降はiDeCoに加入したい、と考えている方も多いと思います。この場合は企業型DCを受け取っても問題ありません。なぜなら60歳で企業型DCを一時金または年金で受け取り始めることは、企業型DCでの受け取りであって、iDeCoとは別物だからです。

もちろん、企業型DCを受け取らず運用の非課税メリットを活かすという考え方もあろうかと思います。その場合には、企業型DCの口座に残高がある間、費用としてかかる口座管理料を自分が負担するのかどうか、自分が負担する場合にはいくらかかるのかを必ずチェックしてください。

iDeCoでは当たり前のように加入者が負担する口座管理料ですが、企業型DCは会社が退職給付制度または福利厚生制度として導入しているため、60歳前の加入者の口座管理料はほぼ会社負担です。しかし、加入者でなくなった後は本人負担となるケースが多いです。

本人負担の場合、その口座管理料は残高から差し引かれます。つまり、新たに徴収はされないものの、いつの間にか減っていたということになりがちです。口座料などのように継続的にかかる費用が本人負担であるなら、長く置いておくべきかどうかは一考したほうがよさそうです。

こういう場合、あまり知られていない解決策として、企業型DCの残高をiDeCoに持ち込みするというのも手です。もし、2022年5月1日以降に60歳以上でiDeCoに加入したいのであれば、そんな方法も一案です。そうすれば、1つの口座で管理も楽ですし、管理料も安くなります。

ただ、注意しないといけないのは、企業型をiDeCoに移すには、いったん現金化しなければならないこと。移換に当たって費用がかかる場合もあります。そのあたりはよく確認しておいたほうがよいでしょう。

いずれにしても今回の改正で、iDeCoを含む確定拠出年金の活用の幅はグンと広がります。これからもさまざまなバリエーションや、ちょっと気づきにくい裏技なども紹介していきますので、皆さんにとってのベストな選択に役立てください。

大江 加代 確定拠出年金アナリスト

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おおえ かよ / Kayo Oe

大手証券会社に22年勤務、サラリーマンの資産形成にかかわる仕事に一貫して従事。退社後、夫の経済コラムニストである大江英樹氏(株式会社 オフィス・リベルタス 代表)を妻として支える一方、確定拠出年金の専門家としてNPO確定拠出年金教育協会 理事、企業年金連合会 調査役として活動。野菜ソムリエの資格も持つ。

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