ついに起こった支持者「トランプ離れ」の実態 世論調査に浮かび上がる岩盤支持層の揺らぎ

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直近の世論調査では、大学を卒業していない白人有権者の間でトランプのリードは21ポイントと、3〜4月の31ポイントから大きく後退した。2016年の最終世論調査時点の29ポイントと比べても、リードは縮まっている。

トランプは単に浮動票を失っただけではない。大学を卒業していない白人有権者の間でバイデンの支持率は平均37%に上昇した。非大卒の白人有権者の間でこれだけの数字が確保できれば、バイデンは大統領選に半ば勝ったも同然だ。というのも、同氏は大卒の白人有権者の間ではもともと支持率が高いからである。直近の世論調査によると、白人大卒者の支持率でバイデンは20ポイントのリードを築いている。リードは春から4ポイント広がった。

バイデンは弱みだった若い有権者で支持率上昇

バイデンは、弱みでもあった若い有権者の間でも支持率を改善してきている。18~34歳の有権者はバイデンを22ポイントの差で支持しており、同氏のリードは春の6ポイントから拡大した。これは2016年の最終世論調査でクリントン氏が獲得した支持率をやや上回る。

確かに若い有権者がバイデンの強みとなることは、おそらくないだろう。民主党の候補指名争いで70代のバイデンが公約したのは急進的な変化ではなく、平常への回帰だった。ただ若者の支持率は今のところ、同氏の当選可能性に重大な脅威となるほど低くはない。

注目すべきは、65歳以上の有権者の支持率でバイデンが今も7ポイントのリードを保っている点だ。現在のような人種差別をめぐる騒乱が起こると、高齢者の支持は歴史的に共和党候補に傾く傾向がある。が、直近の調査ではそうした結果とはなっていない。

もちろん、数カ月前に比べ高齢者の間でバイデンのリードがやや縮小してきている点には留意する必要がある。その要因としてはサンプル数の少なさに起因する統計上のノイズ、または最近の社会不安が影響している可能性があるが、いずれにしても、4年前に高齢者層で5ポイントの差をつけられていたクリントン氏に比べれば、バイデンはまだ、かなり優勢な立場にある。

とはいえ、さらに注目すべきは、非白人有権者の間でバイデンがあまり支持を伸ばせていない点かもしれない。直近の世論調査で同氏は、非白人の支持率でトランプに46ポイントの差をつけたが、その差は3月と4月の調査時点からわずか1ポイントしか広がっていない。

これは2016年大統領選の最終週にクリントン氏が保持した50ポイントのリードに届かない。大半の世論調査会社はサンプル数が少ないことから非白人有権者の内訳を細かく分類しておらず、バイデンが相対的に苦戦している原因を突き止めるのは難しい。ただ現時点では、全国的な傾向からして、同氏が最も苦戦しているのは非白人の若者と非白人の男性であるとみていいだろう。

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