「理系は文章がヘタ」と思う文系人間の勘違い “正確すぎる文章"は時に社会の反発を招く

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理系が理系として書く多くの文章においては、個人個人が自由に解釈できる余地などというものは、残してはいけません。どんな人が読んだとしても、一意にしか受け止められないような言い方を、徹底せねばならないのです。

なぜ理系は「文章がヘタ」と思われがちか

そういった、誤解しにくい文章を書くには、いくつかのテクニックや大事な心構えがあります。だれもがすぐにできることでは、決してありません。誤解しにくい文章が書けるというのは、誇るべき立派な文章力です。

でも、じゃあどうして理系は文章力がないと言われているのでしょう? それは、理系界隈の外側、つまり世間一般における多くの場面では、誤解しにくい文章ではなく、理解しやすい文章の方が評価されるから。

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もうすこし言うと、誤解しにくい文章の技術を、理解しやすい文章が必要なシーンで使ってしまうと、逆効果になるからです。誤解しにくい文章のための技術と、理解しやすい文章のための技術は、本質的に相反するものなので、文章をどちらか一方に寄せると、もう一方からは離れていくようになっています。

理系の書く誤解しにくい文章は、理解しやすい文章をこそ良しとする世の中の多数派が属する世界では、読みにくい・わかりにくい、イコールで質が低いと言われてしまいます。

だから理系の人間は、世間的に、文章力がないと評価されているのです。

藍月 要 作家兼フリーランス広報

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あいづき かなめ / Kaname Aizuki

国立小山工業高等専門学校を卒業後、国立長岡技術科学大学に進学。教員免許を取得し、同大学大学院を中退。工業高校で講師として教科「情報」や「電子機械」などを担当する。エンタープレインえんため大賞にて最終選考に残り、2016年にファミ通文庫(KADOKAWA)より作家デビュー。その後、作家を続けながらIT企業の広報に転職。プレスリリースの作成やオウンドメディアの運営などを担当。独立し、現在に至る。その他、神職資格も所持。平成生まれ。

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