「理系は文章がヘタ」と思う文系人間の勘違い “正確すぎる文章"は時に社会の反発を招く

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理系が理系として書く多くの文章においては、個人個人が自由に解釈できる余地などというものは、残してはいけません。どんな人が読んだとしても、一意にしか受け止められないような言い方を、徹底せねばならないのです。

なぜ理系は「文章がヘタ」と思われがちか

そういった、誤解しにくい文章を書くには、いくつかのテクニックや大事な心構えがあります。だれもがすぐにできることでは、決してありません。誤解しにくい文章が書けるというのは、誇るべき立派な文章力です。

でも、じゃあどうして理系は文章力がないと言われているのでしょう? それは、理系界隈の外側、つまり世間一般における多くの場面では、誤解しにくい文章ではなく、理解しやすい文章の方が評価されるから。

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もうすこし言うと、誤解しにくい文章の技術を、理解しやすい文章が必要なシーンで使ってしまうと、逆効果になるからです。誤解しにくい文章のための技術と、理解しやすい文章のための技術は、本質的に相反するものなので、文章をどちらか一方に寄せると、もう一方からは離れていくようになっています。

理系の書く誤解しにくい文章は、理解しやすい文章をこそ良しとする世の中の多数派が属する世界では、読みにくい・わかりにくい、イコールで質が低いと言われてしまいます。

だから理系の人間は、世間的に、文章力がないと評価されているのです。

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