子どもが欲しい男性が41歳の女性を選んだ結末 36歳と38歳の「美人タイプ」をなぜ振ったのか

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不妊治療をスタートして3カ月後に、再びLINEが来た。

「受精卵を戻したら、着床しました。まずは一歩前進です」

しかし、実は不妊治療はここからが難しい。アラフォーで結婚した元会員女性の多くが体外受精を試みている。受精卵を戻すところまでは順調に進むのだが、そこで着床しなかったり、着床しても育たずに流産してしまったりするケースが多いのだ。

うまく育っていってほしいと心から思った。

しかしその2週間後に、LINEが来た。

「残念ながら、流れてしまいました。幸枝はまた頑張ると言っているので、できるかぎりのサポートをしたいと思います」

これを最後に、しばらくは連絡が来なかった。話題がデリケートなことなので、こちらからは連絡を入れることはなく、報告が来るのを待っていた。

すると、年が明けて春にメールが来た。

「1度目の後、2度目も流産してしまいました。ちょっと相談したいことがあるので、今日会社の昼休みにお電話をしてもいいですか?」

悩んだ末「これが最後」と決めた不妊治療で…

その日お昼の12時をすぎた頃に、祐一から電話がかかってきた。

「幸枝が43歳になってしまったので、もう助成金が出なくなりました。でも、彼女はここで不妊治療をやめたくないと言う。気持ちはわかるんですが、1回にかかる費用が、確実に授かるかどうかわからないチャレンジに使うには金額が大きすぎる。これをいつまで続けるのだろうと考えると、お金をかけてやる意味があるのかなとも思うんです」

一家の家計の主軸を担う祐一の気持ちもわかるし、ここまで頑張ってきたのだから諦めたくない幸枝の気持ちにも共感できた。そこで、私は祐一にこんなアドバイスをした。

「幸枝さんが、『まだ続けたい』と言っているのなら、ここでやめたら彼女に後悔が残るんじゃない? 経済的に支えられるところまでは、頑張ってみたらどうかしら」

その電話の後、また数カ月はなんの音沙汰もなかった。

ところが、昨年の秋にLINEが来た。

「凍結していた最後の受精卵が、着床して育っています。“これを最後の不妊治療にしよう”と2人で話していたので、今回は本当にうまくいってほしいです」

私もそう願わずにはいられなかった。すると、12月に『安定期にはいりました』というLINEが来た。

以前私は女性週刊誌の仕事で、産婦人科医を取材したことがあったのだが、そのときの医師がこんなことを言っていた。

「流産は、全妊娠の15%の確率で起きています。それが35歳を過ぎると20%に上がり、37歳で30%、40歳を過ぎると40%に上がるんですよ。さらに年齢が上がるとともに染色体異常などの確率も高まっていきます」

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