弥生会計が710億円で売却された法人会計市場
最後にビジネスモデルの精査に移ろう。基本的に月額課金モデルで、無料、個人事業主が月額980円、法人が月額1980円のプランがある。各有料プランでは3ユーザーまで使え、1ユーザー追加ごとに300円の従量課金となる。多くの企業は、経営者、税理士、経理担当者の3ユーザーを登録するが、営業マンなどにも登録させ、請求書や経費精算をfreee内で一括管理できるようにしているという。
FinTech特集第1弾で紹介したマネーフォワードfor Businessと比較すると、より無料プランでできることが少ない印象がある。個人向け家計簿・資産管理ツールのマネーフォワードの有料会員化率は5~10%と想定したが、有料会員にならないと継続的な利用が難しく、かつ法人であるため必要経費の支払いハードルは個人向けよりも低い。ゆえに有料会員化率は個人向けよりもずっと高いと想定する。
たとえば法人プラン1980円に入れば年間約2.4万円をfreeeに支払う。会計サービスはスイッチングコストが高いため、1度初期登録すれば会社が存続し続ける限り使われる可能性が高く、極めて顧客生涯価値(ライフタイムバリュー)が高いビジネスモデルだ。もともと月額課金モデルは収益が安定しやすいが、法人向け会計分野はスイッチングコストの高さゆえに抜群の安定性といえよう。
法人向け会計ソフトウエア市場は、給与計算のようなアウトソーシングまで含めると国内では1兆円市場と言われている。国内の法人数は200万社、個人事業主も含めると600万所に上る。freeeの主なターゲット層は従業員100人未満の中小企業だ。
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