「あつ森」は「お金の仕組み」を学べる最強教材だ プレーヤー間で独自に進化する金融システム

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1854年の日米和親条約の締結によって、日本は海外との交易を開始した。当時の標準的な金相場は金1グラムに対して銀15グラム。しかし、鎖国により世界標準を知る由もなかった日本の金相場は、金1グラムに対して銀5グラムだった。

つまり、海外の金相場は日本の3倍もの値がついていたのだ。そこで、商人たちは日本に流通していた小判を海外で銀に換え、その銀を日本で金と再び交換するだけで、簡単に元手を3倍にできた。

このような裁定取引ができる環境を、専門用語では「裁定機会」と呼ぶ。あつ森の住人も島ごとの裁定機会を見逃していない点で、プロの投資家に引けをとらないわけだ。

島内で進化していく金融システム

さらに驚くべきは、住人はSNSで「自分の島でカブを高値で売らないか」と持ちかけると同時に、一定の手数料として、ベルやアイテムを請求するのが通例となっている点。つまり、カブ取引を許可する対価として、フレンドから取引手数料を徴収するのだ。これは現実社会でいえば、証券取引所に近い存在だ。

ここまで見てきたように、裁定取引はほとんど確実に利益を上げられるため、その分の一部を支払ってでもカブを高値で売りたいと考えるのが通常。そこに目をつけた住人は、カブ価が高いときに、自分の島を取引所というプラットフォームとして開放し、マネタイズを図っているのだ。

取引ごとに手数料を徴収すればよいため、取引所の役割を担う住人は、カブを保有するリスクを負わなくても、カブ高の恩恵を得ることができる。

たぬきバンクやカブの裁定取引は、ゲームにあらかじめ組み込まれた金融システムである。しかし、住人が島という場自体を証券取引所としてマネタイズすることは、おそらく開発側が想定していなかった進化のあり方だったのかもしれない。

あつ森の住人は、自身と他のユーザーの利益を調整するために、あつ森のゲーム内で新たな金融システムを生み出しているといえる。既存のゲームシステムを応用すれば、「一定のカブ価でカブを買う権利をベルで取引する」といったオプションのような金融派生商品を生み出すことも不可能ではなさそうだ。

このように、現代社会における金融システムが形づくられる過程を追体験できるあつ森は、やはり金融教育に最適な教材であるというべきだろう。

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