「被害者支援」を軽々しく口にする人たちの特徴

福祉には熱意や情熱よりも大切なものがある

PTSD被害を受けた方に寄り添う支援とはどのようなものなのでしょうか(写真:keyphoto/PIXTA)

私は社会福祉学のマクロ(政策)を中心に研究しています。研究には行動経済学、医療経済学、公衆衛生・疫学、データサイエンス、社会保障などのさまざまな専門知が必要です。本稿では、DVや児童虐待によりPTSD(心的外傷後ストレス障害)被害を受けた人に対して寄り添う支援とはどういうことか、マクロ政策の視点から説明します。

児童虐待やDVの被害によりPTSDになる人もいます。PTSDとは、強烈なショック体験や強い精神的ストレスが心のダメージとなり、時間が経ってからも、その経験に対して強い恐怖を感じるものです。

PTSDからの回復にはどのようなものが有効なのでしょうか? 社会的コストの手法の1つとして費用対効果分析というのがあります。イギリスの研究者Ifigeneia Mavranezouli氏の研究結果を紹介します。

成人期の患者のPTSDの回復において最も費用対効果が高かったのは「EMDR」(適応的情報処理というモデルに基づいた心理療法)、そして「複合した認知療法」「サポート付きセルフヘルプ」「SSRI」(抗うつ薬の一種)などが続くのですが、「カウンセリング」は「何もしない」よりも実は順位が低い結果となりました。つまりカウンセリングより無治療のほうがマシということです。

この結果にはさまざまな解釈がありますが、1つにはPTSDの方に漫然とカウンセリングを行うのは有害だということです。カウンセリングにより、患者はトラウマを「暴露」させられるという再被害を受ける可能性があります。ミクロ領域のPTSD対応にはよほどの専門トレーニングを受けた方でないと扱えない難しい分野です。

軽々しく虐待やDV被害者支援を口にする人たち

被害を受けた方、その中でもとくにPTSDの方を支援するのは非常に高度で専門的なスキルが必要です。しかしスキルがない人や団体が支援をする場合、大雑把に3つのタイプに分かれます。どのタイプも傷ついた弱者を操作することに長けています。自身が元当事者ということに向き合わずにその被害回復にほかの被害者を利用するなどが典型行為です。

①搾取

被害体験を聞き取るだけでケアをしないという最悪な手法を取ります。その体験を講演会のネタにしたり、ひどい場合は、それら被害者の体験を本にしたりして印税を得ますが、被害者には還元しません。被害者が疑問を感じて意見をすると恫喝するなどの行為を行い、さらに被害者のメンタルが悪化する事例がみられる、再被害の典型パターンです。

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