「不法就労する外国人」激増させた日本の大失態 「300万円の罰金」国から請求された経営者も
法律は「知らなかった」では済まない。そしてこれが、コロナショックで大きな被害を被った飲食店や運送業などの現業に追い打ちをかけているのだ。
ある建設業者の実例だ。出入国在留管理庁の職員がやってきて、外国人労働者全員の在留カードの確認を求められた。建設業者は在留カードを確認して雇ったが、それは例のブラックマーケットでつくられたニセのカードだった。
山田氏が話すとおりよくできていて、雇用者はカードを偽造と見抜く術はなかった。なのに「法を知らなかったでは済まない」とばかりに300万円もの罰金を科せられるのだ。
上の建築業者の話だ。
「偽造のカードがあるなんて知らなかったから悔しいですよ。もし厳格に法を適用するなら“あなたの会社で働いている外国人は大丈夫ですか?”といった告知がほしかったし、偽造を見抜けるツールもほしかった。捕まった子は食事も自宅で一緒にとるような間柄でしたが、強制送還されていきました。私も“何かおかしい”と思いながら罰金を払いました。ちなみに強制送還の“旅費”も国民の税金ですよ」
今こそ“制度疲労”を正せ
筆者は考える。この不幸の元はすべて、外国人労働者を奇妙な「建前」で日本に招いたことだ。そもそも2019年に始まった「特定技能」のような制度を実施し、正々堂々とビザを発給していれば、ブラックマーケットも失踪者も生まれず、業者も300万円払わされることもなく、我々の税が浪費されることもなかったのだ。
現実に即さない法があれば、人が抜け道を探すのは当然だ。倫理的な是非は置き、現実に風俗営業、遊技場の営業など「抜け道」に頼っている産業は多い。今こそ、政治家・官僚は現実に即しさまざまな法を積極的に改正し、細やかに告知する時期ではないか。
逆に、コロナ禍のさなかには、厚労省、総務省消防庁、国税庁が法を弾力的に運用し、酒造メーカーが「消毒にも使えますよ」と飲用のアルコールを販売している。経産省も持続化給付金を異例の速さで給付した。関係者の努力は高く評価されるべきだ。そしてこれだけのことができるならば、その他の現実にあわない法も続々と改正すればよいはずなのだが……?
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