孤独死したコロナ患者の部屋に見た過酷な孤立 誰にも助けを求められず命を落とし長期間放置

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「コロナ禍が始まってからは、われわれのもとに独居の人から相談や依頼の電話が増えています。そのほとんどが、子供や親族がいても疎遠だったり、身内が高齢者の兄弟だけだったりで、孤立している方です。病院に行くことを拒んで、発熱していても自宅でかたくなに我慢する方もいらっしゃいました。コロナによって鬱が進んでしまった方もいます。

『買い物と病院に行けない』という悩みが最も多いです。私たち現役世代はネットスーパーなどを使えるけど、高齢者は無理なんです。さらに、人と会えないのは、孤独に追い打ちをかけるんです。そのため、話を聞いてあげたり、買い物に行ったり、マスクを持っていったりするなどの支援を行いました」

スマホなどITを駆使した見守りも登場

遠藤氏によると、子供がおらず、高齢者だけの兄弟の世帯も孤立のリスクが高い。しかし、そんな状況を少しでも打破しようと、ITを駆使した新たな見守りの形も生まれようとしている。

最近では、高齢者から「Zoomのやり方を教えて」と言われることも多くなってきたという。これまでは携帯電話を持っていなかったが、これを機会に新たに見守り用にスマートフォンを買う高齢者もいる。

「今後、コロナ禍において、見守りの形も変化していくでしょう。時間と場所を選ばない見守りがベストなんです。われわれは、LINEを高齢者の見守りにも採用しています。一度覚えてもらえれば、簡単ですから。リアルとITと、時々に応じて使い分けていくことが大切です」

これまでも、孤独死の増加で何かと話題になっていた社会的孤立の問題。今回のコロナ禍を機に、少しでも支援の輪を広げていくことが重要だと感じている。

菅野 久美子 ノンフィクション作家

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かんの・くみこ / Kumiko Kanno

1982年、宮崎県生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒。出版社で編集者を経て、2005年よりフリーライターに。単著に『大島てるが案内人 事故物件めぐりをしてきました』(彩図社)、『孤独死大国』(双葉社)、『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』(毎日新聞出版)『家族遺棄社会 孤立、無縁、放置の果てに。』(KADOKAWA)『母を捨てる』(プレジデント社)など。

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