アメリカの経済紙『Forbes』の発表(2013年版)によると、スポーツ選手の年収では、ゴルフのタイガー・ウッズが7810万ドル(約80億円)でトップ。日本人選手ではイチローがただひとりトップ100に入り、年収は1960万ドル(約20億円)だった。もちろん、100mの世界記録保持者であるウサイン・ボルトのような超スーパースターになれば、陸上選手でも2420万ドル(約25億円)もの大金をゲットできるが、日本人スプリンターで“1億円”は夢の世界だ。ちなみに日本のプロ野球選手で年俸(推定)が1億円を超えた日本人選手は62人もいる。
日本人の感覚では、野球のイチローやサッカーの本田圭佑のような存在にはなれるかも、と思っても、ウサイン・ボルトになるイメージは湧きにくい。可能性とスケールの大きさがそのまま中高校生たちの“選択”につながっている気もする。
そして、何よりも残念なのが、今の日本の高校では、「野球と陸上の両方をやる」という選択肢がないことだ。近年はひとつのスポーツに集中する選手も増えているというが、アメリカでは高校でも複数のスポーツをこなしている選手は少なくない。高校では2~3の競技を掛け持ちして、ひとつの競技に専念するのは大学進学後、もしくはプロになってからというパターンが多い。
たとえば大人気のNBAプレーヤーだったアレン・アイバーソンも、高校時代はバスケとアメフトの2種目でチームをバージニア州のチャンピオンに導き、自らはどちらの種目でもMVPに輝いたほどだ。また、MLBとNFLの両方でオールスター(NFLはプロボウル)に出場したボー・ジャクソンのようなスーパースターもいる。
日本はどうだろう。高校で複数のスポーツをしているアスリートがどれだけいるだろうか。
日本のスポーツ界は国際大会でユース(17歳以下)、ジュニア(19歳以下)、シニア(20歳以上)とカテゴリーが上がるごとに、その競技成績が落ちていく傾向がある。その最大の理由は、早くからひとつの種目に絞って熱心に練習をしていることだと思う。
たとえば、週に6日も野球をしている日本チームと、週に2日しか野球の練習をしないアメリカチームを比べれば、当然、日本チームのほうがレベルは高くなる。しかし、アメリカ勢が種目を絞るようになると、日本勢はその差を徐々に縮められ、シニアでは逆転されるという現象が起きているのだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら