大塚耕平・内閣府副大臣(金融担当)--金融機関は内部留保を蓄積しうる経営が必要
--BIS自己資本規制の新たな基準の導入に際しては、12月に公表された市中協議案の中に「金融市場の安定及び持続的な経済成長との整合性を確保する」とあり、日本としての主張も反映されました。
私は「主張のない交渉に成果はない」と考えている。今回の市中協議案では、グランドファザリングや経過措置、定量的影響度調査を踏まえて慎重な議論を行う、といった点で日本の主張が認められたことはよかった。
--導入措置の一方で、新しい自己資本の構成、特に控除項目として提案された内容は厳しいものになっています。今後の交渉の展開をどのように考えていますか。
確かに、今回の市中協議案は今後の交渉のたたき台にすぎず、やや厳しさが緩んだというだけで、喜んではいられない。今後、厳しくなる可能性もある。年明け後も、交渉に臨んで、日本として主張していくべきことはしっかりと主張していく。
--メガバンクグループをはじめ日本の大手金融機関は、自己資本が脆弱なことから新規制に耐えられないとの指摘があります。
ファイナンスが必要な金融機関もそうでない金融機関もあって、一律には評価しがたい。メガバンクに増資が必要なのは理解できるが、そのことは、これまで収益性等の観点から見て的確な経営が必ずしも行われてこなかったこととも無関係ではない。ガバナンスやディシプリン(規律)がうまく機能していない金融機関もあるのではないか。
今後、新たなBIS自己資本規制について、官民一体となって対応しなければならないことは3つある。
第1に、政府がバーゼルにおいて適切な交渉を行うこと、第2に民間金融機関が市場への影響に配慮しながら計画的に自己資本を増強すること、第3に民間金融機関が本業によって内部留保を蓄積しうる適切なガバナンスを行うということだ。
--メガバンクに再び公的資金が入ることはありうるでしょうか。
論理的には考えられるが、そういう必要性が顕現化しないように、先ほど話した3点に官民ともしっかりと取り組まないといけない。