大戸屋がコロワイドの株主提案に猛反対する訳 窪田社長が激白「委任状争奪戦でも勝てる」
──取締役の選任などを柱とする株主提案に強く反対しています。どうしてですか。
株主提案を見ると、ほとんどコスト削減のことしか書かれていない。コロワイドが持っているセントラルキッチンなどいろいろな設備を使って効率化すると。しかし大戸屋は、店内調理で手作りのできたての味を提供するというのが理念であり、これだけは崩せない。そもそも、店内調理を軸とした効率化なら、当社も以前からずっとやっている。
コロワイドの野尻公平社長に直接会ったときは、「セントラルキッチンを使えば7億円から8億円削減できる」と言っていた。それが、最近では「6億円」などと曖昧な数字になっている。ちゃんと調べずに適当に言っているだけなのだ。そうした相手は信用することができず、株主提案に賛成することはできない。
強引なやり方をしてくる会社とは組めない
──コロワイドだから嫌なのでしょうか。それとも、店内調理を生かすという方針なら株主提案を受け入れるという選択肢もあったのでしょうか。
お互いをよく理解し合って、お互いに相乗効果が出せる提案であれば、検討することはやぶさかでない。われわれは、「企業価値の向上に資することであれば、協議に応じる」と何度も申し上げているくらいだ。しかし、真摯な話し合いに応じてもらえないなど信頼関係を築くことができないばかりか、株主提案という強引なやり方をしてくる会社とは組めないというのが結論だ。
──セントラルキッチンを使わず、あくまで店内調理を貫き通すのはどうしてですか。
セントラルキッチンというのは、工場で全部作ってしまい、店舗では盛り付けるだけだ。そこにわれわれが求める“おいしさ”はない。例えば千切りキャベツ1つとっても、店で洗ってカットした新鮮なキャベツは、セントラルキッチンで作ったものよりもおいしい。
もちろん当社でも、セントラルキッチンを導入することは考えた。ただ加工済みの食材は当然、生の食材を仕入れるよりも割高だ。加えて、店で仕込むよりも品質は落ちる。コストが上がって品質が落ちるようなものよりも、きちんと店舗で新鮮なものを出したいということだ。原価が上がった分、店舗の作業が減って人件費が下がって吸収するというロジックも、そんな単純な話ではない。まして品質が落ちるのであれば、それは大戸屋の味ではない。
セントラルキッチンを使ってとことん効率化したものだけがいいと言うなら、外食産業から何も育たない。われわれはそこにチャレンジしていく。効率だけを求める食事なら、他社がやっている。セントラルキッチンを使わない最後のチェーン店になるつもりだ。