大戸屋がコロワイドの株主提案に猛反対する訳 窪田社長が激白「委任状争奪戦でも勝てる」
創業家の株売却は寝耳に水だった
──コロワイドから株主提案を受けるまでに、どのような経緯があったのですか。
大戸屋ホールディングスの実質創業者で、2015年に亡くなった三森久実氏の妻と長男である三森三枝子・智仁の両氏から、2018年8月と2019年3月の2度にわたって、保有株を自己株買いとして買い取ってくれないかとの話があった。
ところが、2019年4月になって突然、証券会社を通じて他社に売却する意向だと伝えられた。まさに寝耳に水の出来事だった。智仁氏から預かったという売却先の候補リスト約10社のロゴを提示され、「どこに売ったらいいか選んでくれ」と迫られたのだ。その中にはコロワイドのロゴもあった。とはいえ、お二人が保有する株なので、その際は「われわれが選ぶわけにはいきません」と断った。
すると8月に智仁氏から、保有株をコロワイドに売却する旨の通告があった。その頃は、コロワイドのことをよく知らなかったので、「どんな会社だろう」というのが正直な印象だった。
──その後2人がコロワイドに保有株を売却、筆頭株主がコロワイドになって、最初は業務提携を持ちかけられたそうですね。
そうだ。同業同士で相乗効果があればと思い、協議に応じようとした。ただ、秘密保持契約を結ばなければ、業務提携に向けた話し合いができないと考えて提案したが、拒否されてしまった。
その後、何度か話し合いを重ねたのだが、コロワイド側が突然、「業務提携ができないのなら、子会社化(M&A)する前提になる」と態度を硬化させてきた。業務提携にしてもM&Aにしても、お互いのことをよく知らなければ効果は期待できないのではないかと伝えたところ、いきなり株主提案という暴挙に出られて驚いたというのが真相だ。