大戸屋がコロワイドの株主提案に猛反対する訳 窪田社長が激白「委任状争奪戦でも勝てる」

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──コロワイドの株主提案に挙がっている取締役候補者の12人については、どのように感じましたか。

ほとんど会ったことのない人たちなので、どういう人かわからず、評価のしようがない。候補に挙がっている社外取締役に会わせてくれと面談を申し入れているが、コロワイド側は連絡先さえ教えてくれない。大戸屋のことをよくわかっている人なのか、コロワイドのやり方について理解できているのかといった意思確認をしたいのだが、それさえかなわないのだ。

候補の中に(創業家の)智仁氏の名前もあるが、当社に3年程度いたにすぎず、経営会議などを無断欠席することもしばしばあった。われわれは故・三森久実前会長から薫陶を受け、大戸屋の創業精神や理念をしっかり受け継いでいる。智仁氏がいなくても当社の経営に問題はない。

──大戸屋ホールディングスの現経営陣である窪田社長や山本匡哉取締役も候補に入っています。

事前にそのような話はまったく受けていないし、承諾もしていない。勝手に株主提案に名前を載せられただけだ。

テイクアウトを5割にする

──5月25日の取締役会で、社外取締役を含む全員一致で株主提案に反対することを決議しました。このまま行くとプロキシーファイト(委任状争奪戦)に発展する可能性が高いですが、株主をどのように説得していくつもりですか。

今回策定した 新しい中期経営計画を丁寧に説明し、実現させていくというお約束をしっかりとして賛同を求めていくしかないと考えている。株主優待をチラつかせて賛成を得るようなコロワイドのやり方はいかがかと思う。まったく説得力がない。

一方でホワイトナイト(白馬の騎士)を探すようなこともしていない。大戸屋は外食産業の中では独自の進化をしてきたので、同業者だと難しいのではないか。ただ、具体的な話があるわけではないが、同業ではない商社やメーカーなどで当社の理念を理解して協力していただけるところがあるとすれば、考えないわけではない。

──勝てる自信はどのくらいありますか。

勝ちます。負けませんから。

──仮に、株主総会でコロワイド側が買った場合、窪田社長自身の進退はどうしますか。

負ける前提の話はしない。

──とはいえ、ここ数年、業績は極めて厳しいと言わざるをえません、どうやって立て直していかれるつもりですか。

インタビューの間、強気の姿勢を崩さなかった(記者撮影)

直近の2年間は、業務の効率化や働き方改革などばかりに気を取られて、顧客視点を欠いた「自己都合の改革」だったと反省している。顧客よりも効率化などを優先してしまっていた。ただ、調理工程や業務負担などにメスを入れ、戦う基盤ができた。今後は顧客のことだけを考えればいい。

3000人にアンケートやインタビューを実施した結果、都市部と地方、ショッピングセンターとロードサイドなど、立地によってニーズが多様化していることがわかった。その結果を受けて、「大戸屋ごはん処」を立地や顧客に合わせて3つに分類、それぞれにマッチした新たなメニューの提供や価格設定をすることにした。新たなグランドメニューは、満足してもらえると手応えを感じている。

そのうえで、新型コロナを受けてテイクアウトニーズが高まっている。そうした環境変化に対応するため、イートインとテイクアウトの比率を7:3に、将来的には5:5になるようにしていきたい。自社アプリでの弁当注文や、ウーバーイーツなどの宅配代行、冷凍食品の販売を開始するなど具体的な武器はそろった。あとは拡大させていくだけだ。そうすれば大戸屋は必ず立ち直ることができる。

佐々木 亮祐 東洋経済 記者

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ささき りょうすけ / Ryosuke Sasaki

1995年埼玉県生まれ。埼玉県立大宮高校、慶応義塾大学経済学部卒業。卒業論文ではふるさと納税を研究。2018年に入社、外食業界の担当や『会社四季報』編集部、『業界地図』編集部を経て、現在は半導体や電機担当。庶民派の記者を志す。趣味は野球とスピッツ鑑賞。社内の野球部ではキャッチャーを守る。Twitter:@TK_rsasaki

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田島 靖久 東洋経済 記者

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たじま やすひさ / Yasuhisa Tajima

週刊東洋経済副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件取材を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社、週刊東洋経済副編集長、報道部長を経て23年4月から現職。『セブン&アイ 解体へのカウントダウン』が小社より24年12月発売予定。

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