小中学校「オンライン教育格差」が招く真の問題 学校が再開されればいいという話ではない
もちろん、そうした変化までの間には、多くの乗り越えるべきハードルがある。5月11日に文科省がライブ配信した情報環境整備に関する説明会が自治体などに強く行動を促したこともあり、変わり始めた自治体も出てきてはいるが、全体としては少ない。
現在、手をつけていない自治体に変化を働きかけることはもちろん、すでに変化が起こっていても実態としてどれほどの内容なのかの検証も必要だ。2カ月間で中学校3年生の数学を2回、10分間の授業をYouTubeに上げただけでオンライン化できているとするのは言いすぎだし、1人1台配布されていたデバイスが長らく文鎮化していた経緯は反省すべきだろう。
そのためには現在、森田氏と村上氏が個人で集めている情報に加え、それぞれの自治体の保護者が自分たちの街や学校の情報を書き込み、一覧を作っていくような動きが必要かもしれない。森田氏はウィキペディアのような仕組みを模索している。
自治体が動いてくれないのなら
また、今回の休校では親と学校間で互いに「丸投げされた」「何もやってくれない」というコミュニケーション不足からの齟齬が生まれている懸念もある。これまでの学校への連絡法は主に1回線しかない学校の代表電話が多かったはずだが、それでは対話にはなりにくい。
親と学校は敵対するものではなく、子どもの教育という同じ目標を共有していることを踏まえると、今後はSNSを利用するなどで対話ができるようにしていくことも大事かもしれない。
そしてもう1つ、地元自治体が動くのを待つだけではなく、今、使えるオンライン上の学校を探して使うのも子どもの学びを止めないためには有効だろう。
「ネット上には不登校の子ども向け、コロナ禍対応のためなどのオンラインスクール、オンライン寺子屋が登場しています。私も自分の学校ではオンライン授業ができない先生たちを時間外にプロボノとしてお願いすることで保護者が運営する学校を作ろうと考えていますが、そうした学校を利用するのも手です」(森田氏)。
コロナ禍以降にスタートするプログラミング教育の目的の1つが自ら動く人材を育成するものだとしたら、親もまた、学校の指示を待つだけにとどまらない姿勢を示すことが子どもの未来にもつながるのかもしれない。
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