小中学校「オンライン教育格差」が招く真の問題 学校が再開されればいいという話ではない
それ以外では現場がオンラインをやりたいと教育委員会に相談しても、1%でも参加できない家庭がある場合はやるべきではないと反対されたなど、教育委員会がノーを言うケースが少なくない。やはり、理解を求めるべきは教育委員会なのだ。といっても個人で申し入れても組織は動かない。
手として考えられるのは2つ。1つは保護者の声を集めて自校PTA、さらに自治体ごとにあるPTA連合会を通じて声を届けるというやり方。もう1つは保護者有志の会に保護者の1人として区議を、あるいは現時点では保護者でなくともママ議員を巻き込むなどして議会に問題を伝えていくことである。
森田氏に区議からの問い合わせが多数寄せられていることを考えると区議など地方自治体の議員を巻き込むのはいい手かもしれない。ただし、それが政党間の争いなどにならないようにするなどの配慮は必要だ。
オンライン教育進めない自治体の末路
多くの人が関心を持っている、問題と思っていることを伝えるため、アンケートを取るというのも有効だろう。
この一覧表自体を広くアピールしていくという手もある。特に23区では、乳幼児医療費助成制度があっという間に全区のスタンダードになったこと、最近では待機児童減少を競っていることからもわかるように横並び意識が強い。本来はヨソがやっているからウチもという不純な動機で教育を考えてほしくはないが、何もやらないよりはましだろう。
また、今後もテレワークを進めるとする企業が出ている状況を考えると、無理して通勤が楽なところに住む必要もない。家族、特に子どもにとってよりよい環境から住まいを選ぶ動きが加速するわけで、その時に教育が決め手になるであろうことは想像にかたくない。
真剣にICT教育に取り組まない自治体は選ばれなくなり、人口減少や地価下落という可能性すらある。その点に気づけば教育サイド以外からも、ICT教育推進の声が出るはずだ。
と書くと、オンライン授業などは今回のコロナ禍対応の一時しのぎであり、基本は通学、そろそろ授業も再開するからこの先はオンラインでの取り組みは不要と考える人もいるかもしれない。だが、それは大きな間違いだ。現実的なところで言えば、この先、通学が再開されても1クラスを3回に分けての通学となるなど以前のような授業は当分見込めない。コロナの第2波、第3波も予想される。
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