マレーシア感染抑制でも全く油断できない現実

ロックダウン「緩和」後も第2波警戒で自粛続く

マレーシアの首都クアラルンプール市内のスーパーマーケットでは、店員がフェイスシールドにマスクと感染抑制を徹底した厳重装備で対応をしている(筆者撮影)

日本政府は5月25日、東京など首都圏4都県と北海道の緊急事態宣言を解除する方向で最終調整している。

日本以外でもある程度の封じ込めが成功したとみて、欧州をはじめ、世界各国でロックダウンの「緩和」に舵を切る動きが見られるなか、いったん抑制された感染者数が再び増加する「第2波」への懸念が各地で高まっている。人々の動きや経済活動が徐々に活発化することで、再び感染拡大やクラスターの発生が懸念される事態が確認されているからだ。

東南アジアで一時は最大の感染者数を記録したものの、いち早く国境封鎖を断行し、全土に活動制限令を敷いたマレーシアでも、1カ月半以上に及ぶ活動制限令を経て一定の「効果」が確認され、今月初めに「緩和」が発表された(「マレーシアの経済活動再開に映る強烈な危機感」2020年5月7日配信)。活動制限令開始当初、3.5に達していた感染率(基本再生産数=R0)が、5月12日に0.3まで下がり、「活動制限令が成功を収めた」として、マレーシア政府は効果を強調している。

反対強く、緩和した活動制限令を1カ月延長

しかし、「緩和」に反対する市民の声は政府が想定していた以上に強く、直後からオンラインで緩和に反対する署名活動が始まり、わずか数日で45万人以上に達した。政府に対して、緩和の解除を直ちに取り消すよう求めるもので、活動制限令を継続するよう訴えている。

SNS上でも次々に、「なぜ今、”緩和”するのか」「効果が出たからといって経済活動を再開させたら、また元に戻るのではないか」と言った声が上がったほか、果ては「日本人のように規律正しくないマレーシア人が、緩和後のルールをきちんと守るとは思えない、混乱が起きるだろう」などの皮肉も見られた。これらを受け、ムヒディン首相は5月10日、「国民の皆さんが政府に合理的な措置を執り続けることを望んでいることがわかった」などと述べ、緩和した活動制限令を大幅に1カ月延長し、6月9日までとすることを発表した。

時計の針を5月1日に戻そう。活動制限令がいったん「緩和」された初日のマレーシアは、むしろ”ロックダウン”中のゴーストタウンのような街並みとほぼ変わらずひっそりしたままだった。

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